みのもんた(撮影・弦巻勝)
みのもんた(撮影・弦巻勝)

 2021年3月に『朝からみのもんた』(読売テレビ)が終了して、僕のレギュラー番組はなくなりました。

 いろんな方から「寂しいでしょう」と言われましたが、自分で決めたこと。だから、寂しいという思いはないし、後悔もありません。

 というのも、僕は数年前からパーキンソン病というものを患っています。運動機能がどんどん衰えていく難病で、数時間にもわたる収録になると、立っていることもツラくなっていきました。

『朝からみのもんた』は、とても良い番組でしたし、皆さんにご迷惑をかけることだけはしたくなかった。“往生際”という意味では、僕なりの美学というものがありますから、「今だ」というタイミングで終えることができて良かったと、心から思っています。

 今は、鎌倉の山の中にある自宅で自由気ままに暮らしながら、片道1時間半かけて毎日六本木に通っています。僕は『ニッコク』という水道メーターの会社を経営していて、本社が六本木ヒルズの近くにあるんです。『ニッコク』は親父が起こした会社で、大学卒業後はここで働くつもりでした。でも、放送研究会にいた僕にとって、アナウンサーは憧れの職業。だから文化放送に入社したんですね。

 それから文化放送でDJなんかをしていたんですが、30歳を迎える頃に営業部へ異動になってしまいました。

 でも僕は、どうしても「しゃべる仕事」がしたかった。だから文化放送を辞めてフリーになったんですが、世の中はそんなに甘いものじゃなく、全然仕事がない。

 当時の僕には妻と子どもがいましたから、食うに困るわけにはいかないと、親父の会社の門を叩きました。シオシオとうつむいて(笑)。

 そして5年ほど『ニッコク』の仕事に専念していると、30代の後半から、やっとしゃべる仕事が舞い込み始めたんですね。

 でも『ニッコク』は辞めませんでした。「1週間でもっとも長時間テレビの生番組に出演する司会者」としてギネス記録を更新したときも、僕は平行して『ニッコク』の仕事をしていたんです。

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