■無理やりな恋愛要素はいらない?
重いテーマだったが、演じた俳優陣に称賛の声が寄せられていて、特に「姉への八つ当たり具合と夫への糾弾する口調、陣痛シーンがめちゃくちゃリアル…まだお歳は24歳…末恐ろしい子!」などと、今回は嫌われ役に回った北香那の評価が高かった。
また、SNS上の検索数が同ドラマの放送時間になると、「アロマンティック」が1時間前の50倍、「アセクシャル」が100倍と急上昇しており、視聴率だけでは判定できない、コアな注目度が高まっていることが分かる。
今期の民放地上波のドラマでは、『ムチャブリ!』(日本テレビ系)や『ゴシップ』(フジテレビ系)など、お仕事系やミステリー系のエピソードで十分に成立する内容なのに、視聴者を引き込もうと考えたような、強引な恋愛展開に批判的な声が寄せられている。
同ドラマが放送されている“よるドラ”枠は、これまでも『腐女子、うっかりゲイに告る。』『ここは今から倫理です。』『きれいのくに』など、多様性や生きづらさを描く作品が多い。NHKならではの挑戦的な作品が、やたらと“普通”の恋愛要素を入れたがる、民放プライム枠のドラマのカウンターになっているようだ。(ドラマライター・ヤマカワ)