「本場中国の人にもぜひ見てもらいたい!」亜空亜SHINさん「変面をきわめるマジシャンの巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
亜空亜SHIN

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■中国で親しまれる伝統芸能と摩訶不思議なマジックが合体!!

 中国に「変面」という伝統芸能がある。変面とは演者が手や着物の袖、扇子などを顔にかざした瞬間、お面が次々と変わる舞踊のこと。大胆な隈く ま取どりをしたお面が瞬時に10枚以上も入れ替わり、観る者を驚かせる。

 この変面にマジックを取り入れているのが、関西を中心に活躍するマジシャン、亜空亜SHINさんだ。

「私が変面を始めた頃、日本で演じる人はまだ数名でした」

 彼の変面マジックは、発祥の地・中国にも劣らぬ迫力がある。わざわざ客席へ降りて、お面が入れ替わる瞬間を見せるが、至近距離でも、どの角度から注視してもタネが分からない。

 それだけでも高度な技術なのに、さらにマジックが織り込まれているから、観客はより深く混迷の世界へと引き込まれてゆく。

 彼がマジックに関心を抱いたのは幼少期。家族とホテルのバイキング料理を食べに行き、客へのサービスで行われたマジックショーに興味を持った。

 お土産コーナーにあった手品グッズを購入して、その夜に覚え、翌日にクラスメイトに披露したところ、拍手喝采。

「マジックって、こんなに人に喜んでもらえるのか!」と感激し、12歳の若さでプロのマジシャン深井洋正師に弟子入りした。

 近畿大学に進学すると同時に、プロデビューを果たした彼。学業とマジシャンの両立は大変だった。

「授業が終わると、すぐにマジックショーの仕事へ向かわなければなりません。そのため、家から電車で片道1時間半、マジックの道具と鳩を抱えながら大学に通っていました」

■歌舞伎風の変面で世界を驚かせたい!

 若くして頭角を現し、2009年、マジック界のオリンピックと呼ばれる『Fフ ィズムISM世界大会』に日本代表選手として選ばれる。舞台は北京。そこで初めて「変面」と出合った。

「ウエルカムショーで、中国雑技団が変面を披露したんです。力強い演技に魅せられ、感激しました。まさか、後に自分がやるとは思いもしませんでしたが」

 帰国後、奇しくも師匠から、「関西ではまだ誰もやっていない変面に挑戦しないか」と勧められる。弟子の適性を見抜いたのだろう。衣装や道具まで手配してくれたというから、期待の高さがうかがい知れる。

「困ったのは、変面やマジック以外の動きでした。踊りや立ち振る舞いを教えてくれる人はいませんから、中国の動画をスロー再生しながら、所作を独学しました」

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