オバマとプーチンに挟まれ…

国家主席就任以来、口を極めて対日批判を繰り返してきた習近平主席も、9月3日の「抗日戦争勝利記念日」には、「中国政府と人民は中日関係の長期的な安定と発展を望んでいる」と言明。態度を明らかに軟化させてきた。

対して、安倍首相も、「いかなる状況でも対話のドアは開けている」とウエルカムの姿勢に終始。

しかし、事はそう簡単ではない。外務省関連スタッフが言う。

「両国が親密になるためには、中国側が言う"係争中の尖閣問題の棚上げ"が前提条件。一方、安倍首相にとって、尖閣問題の棚上げは"尖閣は日本固有の領土であり、領有権の問題は存在しない"という従来の立場を否定することになり、不可能。日中双方ともガンジガラメ状態で、今はまったく動けないのが現状です」

他方、日韓関係の改善も容易ではない。

「日中接近の報に慌てた韓国は、安倍首相に盛んに秋波を送ってきています。ただし、日韓関係を前進させるには、韓国の外相が言う"日本側が(慰安婦問題などで)誠意ある措置を取ってほしい"との前提条件つきです」(前同)

これを安倍首相は、「首脳会談をするためには、何か条件をつけ、受け入れなければいけないという話には応じない」と一蹴。双方、突っ張り合い、関係改善の糸口さえ掴めていないのだ。

そして、今、安倍首相がもっとも頭を悩ませているのが、対露関係。プーチン大統領の存在である。

「中間選挙前で"覇権国家アメリカ"を自国民にアピールしたいオバマ米大統領と、新時代の世界的リーダーの座を狙うプーチン露大統領の間に、安倍首相は挟まれています。北方領土など国益を考えれば、"どっちつかず"の態度で現状を維持すべき。そんな中、今秋、プーチンが訪日し、安倍首相と面会しようと言っています。ヒヤヒヤものです」(前出・番記者)

なぜ今、日本にプーチンが?

国際問題評論家の小関哲哉氏が言う。

「プーチン大統領は、日本に行く必要があるんです。一つには、ズバリ、トップセールス。ご存じのように、ロシアは天然ガスが豊富で、それを諸外国にパイプラインで流し、外貨を得ています。中国へも、2018年から天然ガスの供給を開始することを決定しましたが、本音では中国のことを信用してない。そうした経緯もあり、日本に対し、長期的に天然ガスを買ってほしい。それが今回の訪日の主眼の一つです」

続けて、「もう一つには、ウクライナ情勢に対しての経緯説明と"一定の理解"を得たいという狙いもある」(前同)

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