狙った獲物からは搾り取る!

しかも、それだけで終わらないのが、先に言った"根こそぎ奪う"というヤリ口の真の怖さなのだ。
「一度、騙すことができた人間は、その後も繰り返し騙せる可能性が高い。だから、そいつには2~3か月を経て、また別の詐欺で接触するんだ。刷り込みをさせるサクラの顔なんて覚えていないから、そいつらには話し方や服装を変えさせるだけで十分。だから、売りつける人間だけ代えればいいし、場合によっては、同じ人間に"今度はこんなにいい話を、ぜひ、お客様だけに"と再度、行かせる場合もある」(同)

仮に、一人の人間が平均20万円を3か月に1回取られれば、年間で80万円の被害額となる。しかも、騙されたと気づかないうちに、繰り返し、金を取られるのだから、タチが悪い。
「もし、対象者から通帳やキャッシュカードを入手したとしても、一気に全額引き落とすなんてことはしないのが、この世界のプロのやり方だ。少しずつ、何度にも分けて、被害者が被害に遭っていると思わないようにしなくちゃいけない。"あの日、コンビニで5万円下ろしたっけ"って思うのが関の山。不審に思っても、その額なら警察や銀行に届け出る人間は、まずいないからな」(別の詐欺師)

前出・溝口氏も、"非表面化"が進む詐欺の最新傾向に警鐘を鳴らす。
「詐欺師たちは毎日、ニュースを見て、話題の人や、ものを次の詐欺に使えないかと熱心に考えています。デング熱やエボラ出血熱、東京五輪でさえ詐欺の材料になりかねない。毎日、新手の詐欺が生まれていると肝に銘じるべきでしょう」
まさに、浜の真砂(まさご)は尽きるとも、この世に詐欺のネタは尽きないようである。

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