3 井納翔一(28歳)投手/DeNA
以前の不思議キャラから二ケタ勝利の大黒柱に変身

7月25日の対ヤクルト戦。井納翔一は6回1失点で、本人初の10勝目を挙げた。2012年、かつての横浜ベイスターズがDeNAという新球団になって、初めて誕生した二ケタ勝利投手である。"番長"三浦大輔投手は一昨年、昨年と9勝止まりだった。
現在、井納は11勝7敗。この数字は確実にチームの大黒柱のものである。

実は、この井納。ちょっと不思議な言動から、チーム内では"宇宙人"と呼ばれている。
たとえば、誕生日に「いくつになったか」と聞かれて、「今日です」と答えたエピソード。まあ、これは、他人の話をよく聞いていないということだけなのかもしれないが、ほかにも、こんな話がある。
試合終了後の中畑監督の囲みインタビューの際、記者団の中に、ペンとメモを持った井納が紛れ込んでいた。本人は冗談のつもりだったのだろうが、いつしか記者から質問を受けることに。そして、「変わり者という自覚はあります」とか、「それを個性として生かせるようにすればと、前向きにとらえています」と発言していた。

このように、1年目は「キャラクター先行」の存在だった井納が、エースの自覚を持って、鮮やかに覚醒したのが今季と言える。
飛躍のきっかけとなったのは、春季キャンプの際、たまたま視察に来ていた"フォークの神様"、球界の大先輩.杉下茂さんからのアドバイスだった。
「もっと手首を使ってカーブを投げることにより、フォークもストレートもよくなる」という杉下氏の言葉を実践したことで、試合で使えるカーブが投げられるようになり、真っすぐもフォークも、より質の高いものになったというのだ。
さらに彼を成長させた、もう一つの出来事は、昨年侍ジャパンに招集されて、2イニングを無失点で抑えたこと。この代表での活躍が、今年の自信に繋がっていることは明白だろう。
二ケタ勝利とともに、目標に掲げてきた「年間150~160イニングを投げる」という目標もほぼ達成して、成長を形にした井納。来季も、"ハマの大黒柱"の活躍に注目したい。

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