6 呉昇桓(32歳)投手/阪神
不安視する声もなんのそのピンチを救った虎の守護神

韓国のプロ野球で5度のセーブ王に輝き、通算277セーブの記録を持つ呉昇桓(オスンファン)。そんな呉投手を契約金2億円、年俸3億円で獲得することを阪神が発表したとき、日本のプロ野球ファンの多くは懐疑的だった。
「"高すぎるのではないか""そもそも韓国で一流とはいえ、日本の野球に合うとは限らない"など、あの頃、様々な雑音が聞こえてきたものです。それを呉投手は見事に黙らせてしまったのですから、頭が下がります」(スポーツ紙記者)
呉は、これらの懸念の声を蹴散らすかのように、すんなりと日本の野球に順応。いまや藤川球児の魂を受け継ぐ"虎の守護神"として、絶大な信頼を獲得している。

デビューは3月29日、東京ドームの巨人戦。9回裏に登場し、1イニング被安打1で無失点に抑え、見事、初セーブを獲得した。
4月10日、甲子園でのDeNA戦では、同点で迎えた9回に登板。1イニングを無失点に抑えると、その裏の攻撃でチームはサヨナラ勝ちを収め、初勝利をものにした。そして、この試合から12試合連続無失点を続ける。
さらに翌4月11日の巨人戦からは、10試合10イニング連続無被安打も記録。7月21日の巨人戦では、元.ヤクルト(現.三星ライオンズ)の林昌勇に次ぐ史上2人目の日韓通算300セーブを獲得した。

淡々と仕事をこなしているように見える呉だが、意地を見せたのは8月27日の巨人戦。その前日からの天王山3連戦。「この試合に勝てば、首位巨人との差は0.5、負ければ2.5」という大事な試合で彼は救援に失敗してしまう。「メッセンジャーを続投させていれば」と誰もが悔む継投ミスだった。
負ければ自力V消滅、というところまで追い込まれた阪神は、この27日、10回裏2点リードの場面で呉を投入。しかし、先頭の阿部慎之助にソロ本塁打を許してしまう。頭をよぎる前日の悪夢。だが、彼は気持ちを切り替えて後続を断ち、リベンジを果たした。
呉がいなければ、阪神は優勝争いなど決してできなかっただろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7