演歌は古臭くなっちゃダメ!

――お話をうかがっていると、芸歴50年を誇るベテラン歌手でありながら"新しいことに挑戦しよう!"という気持ちが伝わってきます。

小林 性格なんですよ。面白そうなら、まずやってみる。基本的に、何かをやっているほうが楽しいんです。

――そうした幸子さんから見て、今の演歌界はどうですか?

小林 演歌は間違いなく、日本人の心に染み込んでいる素晴らしいものです。ただ、どこかで旧態依然としている部分もありますよね。たとえば歌舞伎は古典ですが、演歌を古典にしてはいけない。歌舞伎には長~い歴史があって、もともとが古いわけです。でも、演歌そのものは100年も200年も歴史があるわけではないですから。

――確かに、「演歌」と呼ばれているものは、戦後に誕生したものですね。

小林 そういう意味では演歌も、もっと進化しなくてはいけないなと思うんです。ビートルズは60代から上の世代の音楽。でも、今でも新しいじゃないですか。音楽性もあるんでしょうけど、演歌も固定観念に縛られて古臭くなってはいけないジャンルなんです。「古い」と「古臭い」とは違いますからね。

――演歌を心から愛する歌い手であるがゆえの思いですね。

小林 私一人でできる規模の話ではないですけど、新しいチャレンジをして少しは風穴を開けられたらな、と。ただ、演歌の世界と今の若い人たちの世界を無理に融合させようとすると、ややこしくなってしまうので、そこは気をつけないといけない。それをしたら若い人たちは、ついてきてくれないと思います。

――確かに、若い人はそういう"匂い"に敏感です。

小林 最近、NHKがコミケに初めて企業ブースを出展することがニュースになっていましたが、「コミケ」という言葉自体、私たちの世代はよくわからなかったと思うんです。私の活動が、結果的に少しでも私たちの世代と若い人たちの世代の文化の橋渡しになっているとしたら、それはうれしいことですね。

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