球団もファンも諦めかけたゴジラの監督就任。だが、むしろ今、水面下の動きは激しさを増しているのだ!

ついに今年もプロ野球が開幕した! 連勝スタートの球団、負けが先行する球団とさまざまだが、ペナントレースはまだ始まったばかり。各球団とも今は、じっくりと土台固めをする時期なのかもしれない。
だが、開幕直前、球界の盟主・巨人軍では、その土台ごと変えてしまうことになりかねない出来事が起きていたというのだ。

3月23日に都内のホテルで開催された「燦々会」(巨人を応援する財界人の集い)の席上で、読売新聞グループ本社代表取締役会長で、巨人軍最高顧問の渡邉恒雄氏はこう言った。
「(原監督は)11年間で7回優勝して3回日本一になってるんです。これが最終戦だなんて週刊誌かなんかに書いてあったけど、誰もこれで終わったなんて思っていない。13年目に入るかもしれないし、14年目にいくかもしれない。勝ち続ければそう(続投)なるんですよ。原君、頑張ってくれよ」

翌日のスポーツ紙は、この発言を大きく取り上げ、〈渡邉最高顧問、熱望! 来季も原監督〉と書き立てた。
さらに、それより2週間前の3月10日には、原監督の後継者とみられていた松井秀喜氏(40)が、大リーグ・NYヤンキースのGM特別アドバイザーに就任。巡回コーチとして、若手育成を手伝うことが発表され、一部夕刊紙上に〈松井氏、ヤンキースフロント入り〉と見出しが躍っただけに、「巨人は、松井の監督就任をついに諦めた」という憶測が急速に広まったのだ。

だが、球界関係者はこう否定する。
「真実は違います。渡邉会長を含めた巨人軍のフロント陣は、このオフ、原から松井へと電撃的に監督をすげ替える計画を立てているんです」

2016年、巨人軍に松井監督が誕生する現況では、にわかには信じがたい話だ。しかし、取材を進めると、来季の松井監督就任説が熱を帯びてくるのだ。
まず、前出の球界関係者が、こう話してくれた。
「実は、"原続投宣言"には驚きの続きがあるんです。記者が発言の真意を確かめようと囲み取材を敢行したところ、渡邉会長は、"ドラマチックな展開はあるかもしれん"と言い放ったんです。会長が示唆したのは、当然、松井の監督就任しかありえないでしょう」

だが、もちろん新体制が発足するためには、現在、指揮を執っている原監督が今季限りで退任しなければならない。12年から3年連続でリーグ優勝を果たしている原監督だけに、少し成績が悪い程度では、クビの理由にはならないはず。
しかし、こと巨人軍に関しては「そうではない」と、巨人の番記者だったベテランスポーツライターの江尻良文氏は話す。
「巨人にとって優勝とは日本一になること。確かに原巨人は13年も14年もリーグ優勝はしましたが、日本一にはなっていない。今年、日本一奪還がならなければ、巨人軍の基準で言えば、"3年連続敗退"ということになる。十分、解任の理由になるはずです」
渡邉会長が「勝ち続ければそういうこと(続投)になる」と明言したのは、逆に、「負ければ解任」を断言したとも取れるのだ。

もちろん、原監督も「今年日本一になれなければ、解任されても仕方ない」と覚悟しているかもしれない。
「いや、それどころか、たとえ日本一になったとしても、それを花道に辞めてしまう可能性があります」
と言うのは、原監督の性格をよく知る巨人番記者。
「巨人の監督は、並みの神経では務まらない過酷な仕事。これを11年も続けてきた原監督には相当の"勤続疲労"がたまっていて、親しい関係者には"もう疲れた。そろそろ辞めたい"と漏らしていると聞きます」

疲労に加えて、もうひとつ大きな理由がある。実は、原監督は現在の巨人軍フロントに拭いがたい不信感を持っているというのだ。
不信感のひとつは、原監督の思うような補強をするように、フロントが動いてくれないことだという。
「5年前、現・ソフトバンクの内川の獲得に反対されたことに始まり、このオフは、金子、嶋、グリエルと狙った大物獲得にことごとく失敗。それぞれ事情はあるものの、フロントに"どうしても獲得する"という姿勢が見えなかったことが大きかったと原監督は考えているようです」(同記者)

そして、不信感のもうひとつの原因は、現フロントの松井氏への度を超えた"ラブコール"だ。
「ここ数年、原の存在を無視し、巨人軍フロントは、平気で"将来、松井くんに監督になってほしい"とアナウンスし続けています。昨年、臨時コーチとして春季キャンプに松井を呼んだときも、世間の注目がみんな松井に集まって、チーム作りの大切な時間を邪魔されてしまった。松井に罪はないんですが、あまりにも配慮を欠いたフロントの一連の動きに、原は不信感を募らせているんです」(前出の球界関係者)

球団は、今季のスローガンに「新成」を掲げ、チームの大きな改造に乗り出しているが、原監督が今年で辞めれば、改革を途中で放り出すことになる。だが、
「近い人間が、"チーム改造がなされないままでは辞められないですね"と原に持ちかけても、彼は"そうだよなあ"のひと言も言わないらしいんです」(同)

要するに、球団側にも、原監督側にも「原監督は今年限り」という心づもりがある、ということだ。

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