AIIB不参加で、日本は米国に資産520兆円を奪われる!?の画像
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日本では現在、「AIIBに入るなどバカげている」という論調が主流だが、この意見に真っ向から異論を唱えているのが、ノンフィクション作家のベンジャミン・フルフォード氏だ。氏によれば「AIIB不参加は米国の策略」だという。その真意について、寄稿していただいた。

本

文・ベンジャミン・フルフォード

大きな間違いだった、そう断言しておこう。

もちろん、「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)への不参加である。

周知の通り、中国が主導する「AIIB」に、日本はアメリカとともに不参加を決定した。しかし、2015年3月末まで募集した設立メンバーにおいて主要国で不参加を表明したのは、日米のほかにはカナダ、メキシコ、アルゼンチンぐらいだった。

メディアの多くは、日本の不参加は当然という論調だったが、ヨーロッパのG7(先進国)、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・南アフリカ)、さらにはスイスやルクセンブルグといった国際金融センターもこぞって参加。

そのあせりもあるのだろう。メディアでは、盛んに「どうせ失敗する」「中国覇権のために協力する必要はない」、あるいは「日米が主導するADB(アジア開発銀行)で十分」といった意見が溢れている。
だが、冷静になって考えてほしい。

日中関係を悪化させてまで、かたくなに拒絶するような案件だったのか、と。

多額の出資金や中国による不透明な運営方針といった問題があるにせよ、AIIBは中国が資本金の半分を供出する。失敗すれば中国がもっともダメージを受ける以上、ムチャクチャな運営をするはずはない。

何より「ADBを潰してAIIBだけにしろ」と要求されたわけではないのだ。実際、大半のアジア諸国は、ADBと一緒にAIIBにも参加している。出資金が高いというのならば、下げてほしいと交渉すればいい。そもそもアジア地域における投資案件なのだから、ごく普通に日本も参加すればよかったのだ。

問題は、日本政府がここまで態度をこじらせ、不参加を決めた「背景」にある。いったい、何が原因なのか。それを考えなければならないのだ。
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