続いてパ・リーグ。投手陣には日米を股にかけた男たちが並ぶ。現在へと続く道を切り拓いた「ドクターK」こと野茂英雄を筆頭に、松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大。「日本最速男」の大谷翔平も、やがて、この道を歩くことになるはずだ。

 往年の名投手からは球宴通算勝利数が歴代1位(7勝)のアンダースロー・山田久志や「草魂」鈴木啓示、マサカリ投法の村田兆治を選出。近鉄の監督でもあった鈴木とピッチャー・野茂の確執は有名な話だが、そこは「鉄腕」稲尾和久にキッと目を光らせてもらおう。

 ヤクルト・伊藤とのスライダーの投げ合いにも注目が集まる稲尾だが、万が一、「神様、仏様、稲尾様」でもベンチ内のピリピリが収まらないようなら、工藤公康の盛り上げ力に期待しよう。なお、西武出身の工藤だが、バランスを考慮してダイエーでの出場となる。

 工藤といえば91年の第2戦。延長12回に外野を守っている。西武・秋山の負傷退場もあり、控えの野手が不在となったために発生したハプニングだった。なお、この試合がきっかけとなって、92年からは延長戦が廃止されている。

 さて、ここまで10人の投手は全員が先発タイプ。抑え役もメンバーに加えたいところだが。「山口高志でしょう。70年代半ばの阪急に黄金時代をもたらしたダイナミックなフォームからの剛速球を、ダルビッシュや大谷の前で披露してもらいたいです」(前出のスポーツライター)

 捕手は野村克也が貫録のメンバー入り。球宴通算21回出場、同じく48安打は、ともに歴代1位の数字だ。元西武の伊東勤や元ソフトバンクの城島健司らも選出に値する捕手だが、もう1枠は嶋基宏に与えたい。楽天代表として、また、ノムさんのボヤキ節の聞き役としても適任だろう。

 同様の理由から、コーチにはドン・ブレイザーを呼び寄せたい。野村いわく、「ID野球の源流はブレイザーにある」。選手たちに、どのような策を授けるか。監督は「悲運の名将」として知られる西本幸雄。8度の日本シリーズで一度も勝てなかった悔しさを、この舞台で晴らせるか。もう一人のコーチには仰木彬を配した。西鉄出身でパ・リーグひと筋。イチローや清原とも浅からぬ縁がある。

 その清原は86年の第2戦、大洋の遠藤一彦から大阪球場のレフトスタンド上段に豪快弾。高卒ルーキーとしてはオールスター史上初となる本塁打によって、最年少MVP(18歳11カ月)を獲得。通算7度のMVPは歴代1位だ。

 そんな栄光も今となっては遠い昔の話に聞こえるが、希代のお祭り男をラインアップから除外するわけにはいかない。他の野手陣には、パ・リーグの顔とも言える猛者が名を連ねる。

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