■裁判で勝訴しても、干されないかどうかは別問題

 こうなると、公取の登場を待つまでもないように思えるが、弓田氏は続ける。「ただ、裁判で芸能人の権利が認められ、移籍なり独立なりが成立したとしても、その後、仕事があるのかどうか、つまり、干されないかどうかは別問題です」

 そこで思い出されるのは前述した、のん(能年玲奈)のケースだ。「彼女は独立騒動後、地上波に出られない状況が続きました。事務所はまったく動いていないのに、民放各局が“忖度”したからだといわれます。ところが、昨年12月21日放送のNHKの『あさイチ』に彼女が出演したんです。もちろん、NHKには彼女を起用した朝ドラ『あまちゃん』が大ヒットした事情もあるんでしょうが、放送関係者の間では“さすが公共放送”との声が上がりました」(前出の芸能記者)

 では、なぜ一部の芸能事務所の“ブラック体質”は改まらないのか。芸能評論家の三杉武氏は、こう言う。「ダイヤの原石も磨かなければ、あくまで原石。芸能事務所は原石が輝くまで、家賃などの生活費、衣装代、レッスン代などを“先行投資”として負担しています。移籍を簡単に認めたら、懸命に原石を磨き、育成しても、給料がいいという理由で一部の大手事務所に人材が集中してしまう。それはそれで問題なんです」

 多額の資金を投じ、タレントの卵を原石から育てる芸能プロダクション側の主張もよく分かる。しかし、最近は、ネット時代の到来で芸能界も自浄作用が働き出したという。「芸能事務所が非道な行為を働けば、ネットで炎上し、テレビ局やスポンサー筋にファンから抗議が殺到するんです。そういう事情もあり、芸能人の契約問題は改善される方向へ進んでいますし、公取の調査が、その動きに拍車をかけることになると思います」(前同)

■松本人志や小栗旬がタレントの労働組合について言及

 この状況で予想されるのが、芸能人たちの“新たな動き”だとされる。その筆頭に立つのでは、とささやかれるのが俳優の小栗旬(34)だ。「彼は、山田孝之(33)、綾野剛(35)ら、人気俳優たちの中で兄貴的な存在として認められています。そんな小栗の念願はアメリカ芸能界のような芸能人の労働組合設立だといわれています」(前同)

 事実、小栗はかつて、雑誌『クイックジャパン』のインタビューで、〈誰かに殺されるかもしれないというくらいの覚悟で戦う〉と宣言している。さらに、「今年2月、ダウンタウンの松本人志(54)も、タレント組合の必要性について公に言及したんです。日本芸能界の発展のために、大手芸能プロ側と芸能人側の両者の意向を組む形で、もし仮に若手俳優界の実力者である小栗と、お笑い界のトップである松本が同時に動き出すようなことがあれば、芸能界に大きなうねりが生まれるのは間違いないですよ」(同)

 “公取ショック”に見舞われそうな芸能界が今、変わろうとしている!

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2