ロシアのウクライナ侵攻でさらに枯渇!日本の食卓から「マグロが消える日」の画像
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「例年、1月から4月に、その年1年分のマグロが世界中から日本に集まります。冷凍保管され、年末まで順次、供給されるんですが、今年は海外からの入荷量がかなり少ないんです」

 こう危機感を示すのは、水産専門商社の社員。

 その要因の一つとなっているのが、いまだ解決の糸口が見えない、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻だという。

 経済評論家の杉村富生氏は、こう語る。

「日本をはじめ、世界の主な民主主義国家は、制裁のためにロシアとの経済関係を断たざるをえない。ただ、ロシアは、原油・天然ガスともに世界3位というエネルギー大国ですから、その影響は甚大です」

 事実、ウクライナのゼレンスキー大統領の抵抗で紛争が長期化する中、原油価格は上がり続けている。

「米国原油先物価格は3月7日、1バレル130ドル台をつけ、14年ぶりの水準まで高騰しました。ガソリンはウクライナ侵攻前に比べ、約4割価格が上がっています。この先、1バレル200ドル突破もありうると見ています」(前同)

 北大西洋や南太平洋など、遠洋で漁業をするマグロ漁にとって、原油価格の暴騰は死活問題だ。

「マグロ漁は経費の3〜4割ほどを燃料費が占め、消費する燃油は、300〜500日の一航海で1000キロリットルにも及びます。一方、漁獲高は減少続きで、近年は、一航海で3000〜5000万円近い赤字となることも。コスト増を価格に転嫁できない業界の構造もあり、休業や廃業に追い込まれる業者も増えています」(漁協関係者)

 そこに、コロナ禍が追い打ちをかけている。

「特にキハダやメバチマグロを追う遠洋漁業では漁が長期に及ぶため、船員が途中の国で乗り替わり、交代します。その乗り降りや母国に帰ることがコロナ禍で難しくなり、船員不足に。そのため、漁に出る船自体が少なくなりました」(前出の水産専門商社社員)

 こうした燃料費などの暴騰に、世界でのマグロ需要の増加が加わり、世界では壮絶なマグロ争奪戦が起きている。

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