レスラーとしては小柄ながら果敢に無差別級でヘビー級選手と戦い『リアルプロレスラー』の異名を持つ総合格闘技家のミノワマン。
男社会であるモータースポーツで勝ち抜くべく、レースの世界で最高峰の『ル・マン』を目指す岩岡万梨恵。
勝負の世界に生きる2人が通じ合うものとはー-。
(第4回/全4回)
―お二人とも、危険な仕事というか、いろいろなことをしていますよね。
岩岡「クラッシュしてすぐとかは、そのコーナーは気を付けようってなりますけど、走ってると忘れます。それよりも、もっとタイムを繋げるにはどうすればいいんだ、みたいな。そういう考え方に変わります。
ただ、『鈴鹿サーキット』の『130R』っていう前が見えなくて高いスピードで行かないといけないコーナーでは、そこは“行くぞ!”って思わないとドキドキですね。クラッシュと紙一重のコーナーなので。ドキドキします」
―そこが一番ドキドキする?
岩岡「どこまで行けるんだ、でも挑戦しないといけるかわからない、みたいなのもあるので……」
ミノワマン「そういうのって、やる前にイメージトレーニングをするじゃないですか。悪い方向にイメージしちゃいませんか? クラッシュしたりとか、そこで後れを取るとか。そういう時はどうやって転換させてるんですか?」
岩岡「私は、いままで本当にマイナス思考から入っちゃってたんですよ。“クラッシュしたらどうしよう!”みたいな。なので、一歩一歩進むタイプみたいな感じです。“ここまでは行ける”から少しずつブレーキのポイントをずらしたり、みたいな感じで改善したりとかですね。
でも、タイヤの状態だったりをフィーリングで感じて、そういう今の状況を、どれだけタイヤがグリップしてるのか、今日の路面のコンディションはどうなのかを、1周1周感じ取りながら走っていくしかない。
いちおう、今年からはそこをプラスに考えられるようにしていかなきゃなと思いつつ、でも怖いですよね。ドキドキはしますけど、それ以外のコーナーはまたコーナーに応じたこと考えているので……怖いとは思わないです」
―ミノワマンさんも、恐怖を感じることが?
ミノワマン「全部ありますね。“これで負けたらどうしよう”とか、相手の技とかによって、こういうケガしたらどうしようとか、そういうのはありますね」
岩岡「どうやって切り替えるんですか?」
ミノワマン「そこは一回受け止めて、そのままだとずっとマイナス方向に行ってしまうけど、そういう考えも必ず必要ですので、そこは氣を付けてクリアして。練習でカバーするとか……そうですね。体が教えてくれてるんだな、と思ってやってます。
ただ、そのまま引きずってしまうと負けやけがに繋がってしまうのはありますね。ケガや負けた原因は、どこか心の問題があったりしますね。後々で振り返ると」
岩岡「似てるんですね、やっぱり。後ろとか気にしなかったら全然余裕だったのにとか、自分のメンタル面とか。マイナスなことを考えてタイムに影響しちゃうのは、多々ありました」
ミノワマン「いい時は、あまり考えてないですよね。まっすぐ踏んでる感じですよね」
岩岡「そうですね。すごい集中できたりとか。あと、追ってる立場だと集中しやすかったりとか。
追っていて抜いて、いざ一人になってちょっと後ろに余裕ができた、でも追われてるって時が、変に焦っちゃってパフォーマンスが落ちちゃったりとかっていうのは、いままでもいっぱいありますね」
ミノワマン「後ろに心が行っちゃってる?」
岩岡「そうですね。どこから来るかとか、どれくらいのマージン(余裕)があるか、とか。“これくらい引き離せたから、もう前しか見ない”って思いながら走っていてもどこかでミスして後ろを見ると“あぁ追いつかれちゃった……”みたいなのを繰り返しちゃうと、マイナスの方に引っ張られちゃうことはありますね」
ミノワマン「後ろに氣が行ってるんですね。本当は前に行くべきなのに。分かります」
岩岡「同じような、似てる部分がある気がします」