■脇役の人生にこだわる生方美久脚本

 そのため、視聴者のツイッター上の反響は、「夏帆の笑顔にすべてを持っていかれた。主人公は奈々と春尾だっけ? と思うほど素晴らしい回想シーンだった」「ニコッと音が出そうな奈々の笑顔がかわいくて、視聴者も春尾と同時に奈々に恋をした瞬間だった」など、夏帆と風間のシーンが好評。

 普通のドラマなら、脇役のバックグラウンドはサラッと描かれる程度。しかし、本作はそれを丹念に描いて物語に深みを与え、多くの視聴者の共感と感動を呼んだ。その効果もあって、視聴率と見逃し配信の再生数ともに、あいかわらず絶好調だ。

 脚本の生方氏は11月30日放送のラジオ番組『パンサー向井の#ふらっと』(TBSラジオ)で、奈々と湊斗(鈴鹿央士/22)の描き方について、「“当て馬”っていう言葉がすごい嫌い」だとし、奈々たちにも人生や恋愛観があり、結果的に恋が実らなくてもこの子たちの恋がちゃんと成就する話にしたいと語っている。

 そんな生方氏の思いが、本作を今までにない野心的なラブストーリーに作り上げようとしている。物語はクライマックスに向かい、紬と想だけでなく、家族や友人たちの胸の内も描かれ、今年どころか、ここ10年の傑作になりそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)

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