■“裏方”の仕事もやっていきたいです

 こっちに戻ってからは、もうどんなお仕事もやらせてもらおうと前向きになって、おかげさまで、いろいろお声がけいただけるようになってきました。そんな中、今回『三茶のポルターガイスト』という映画に出演させてもらいました。東京の世田谷にある雑居ビルが舞台のホラードキュメントなんですが、コミューンという環境で暮らしていたからか、スピリチュアルなものに興味があって。僕自身は霊感があるわけではないですが、この雑居ビルに足を踏み入れた瞬間、何かゾクゾクッと悪寒が走ったんです。行く前は正直、気楽な心構えだったんですけど(笑)、貴重な体験をさせてもらいましたね。だから、この映画に映っているものは、全部、本物ですよ。 

 この仕事が好きなんです。人間のきれいな部分や汚い部分を全部引き受けて、ある種の泥臭さ、人間臭さをさらけ出すのが俳優だと思っています。そんな演技を、魂を削ってやっていきたい。

 もちろん新しいことにも挑戦していきたいと思っています。その一つは監督業。いわゆる“裏方”の仕事もやっていきたいです。この間も低予算の映画の監督を務めさせてもらって。予算がない分、助監督や制作部がやるべきことも自分がこなさなきゃいけないんですが、若い子たちと一緒にモノ作りをしているという実感があって、すごく楽しかったです。この感覚は20代の頃にはなかったなあ……。そういう意味ではワークショップなどで若手の育成もやっていきたいですね。

 あとカメラマンの仕事にも興味があるんです。もともと、フィルムカメラが大好きで、よく作品撮りに出かけているんです。実は、ドラマでご一緒した俳優の酒井法子さんに被写体になってもらえないかと声をかけているんですけど……ちょっと難しいかな(笑)。

いしだ壱成(いしだ・いっせい)
1974年12月7日生まれ、東京都出身。B型。1992年、テレビドラマ『悲しいほどお天気』(フジテレビ系)でデビュー。主な出演作として『ひとつ屋根の下』(フジ系)『未成年』(TBS系)『聖者の行進』(TBS系)など。音楽活動や舞台で活動するも、人気絶頂の2001年8月に、大麻取締法違反により逮捕。私生活での3度の離婚を経て今、再起を果たす。

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