■“頭の体力”がケタ外れ

「(対局で)最も強く感じたのは、“頭の体力”がケタ外れということ。対局時間が12時間以上になっても、藤井さんはずっと考え続けることができるんですよね」

 自分の手番はもちろん、谷川九段が長考しているときも考え続け、食事休憩でも、食べ終えたらすぐに対局室に戻ったという。

「たいていの人は、それだけ長考を続けたら、頭を休めたいと思う。でも、藤井さんは違いましたね」(前同)

 いくらプロの棋士とはいえ、考え続けることは容易ではないのだ。

「小学生の頃から、考えることが大好きな子どもでした。当時から持ち時間が長い将棋に強かったし、詰将棋もずっと解いていましたね」(前出の文本氏)

■“負けず嫌い”勝利への執念

 さて、谷川九段と言えば、当時小学2年生の藤井少年とイベントで指導対局。敗色濃厚となった藤井に号泣されたことも有名だ。

「師匠である杉本昌隆八段によると、幼少期には、負けると悔しさのあまり、目の前の将棋盤を抱きかかえ、よく大泣きしていたとか。今も“負けず嫌い”を公言していますし、それが勝利への執念を生んでいるのかもしれません」(前出の将棋関係者)

■切磋琢磨ライバルの存在

 そんな“負け”を力に変える藤井七冠にとって、切磋琢磨するライバルの存在も見逃せない。

「17年から永瀬拓矢王座と“研究会”を行っています。永瀬王座も、現在の将棋界でトップクラスの実力者。そんな棋士を相手に、これまで100局以上も指しているそうですから、まさに“鬼に金棒”ですよ」(文化部記者)

 その研究会の様子が、さらにすごい。

「朝10時に集合して、顔を合わせると雑談もせずに、すぐ対局。それから、お昼休憩の時間以外、夜の8時すぎまで、ずっと指し続けるそうです」(前同)

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