5月20日、太平洋西部のカロリン諸島海上で発生し、猛威を振るった台風2号『マーワー』。
「季節外れながら、最大瞬間風速が67メートルを超えるスーパー台風でした。時速に直せば、新幹線並みの約250キロと非常に強い勢力で、グアムに甚大な被害をもたらした後、先島諸島や沖縄にも接近。本州付近の梅雨前線が刺激され、豪雨や長雨が降るなど、日本列島にも大きな影響が出ました」(気象庁担当記者)
■例年より早い梅雨入りも
今年は5月29日に九州北部から東海地方までなど、例年よりも早い梅雨入りが発表された。これから7月中旬までの梅雨の期間、強力な台風が発生する可能性が高いという。気象予報士の原田雅成氏が解説する。
「終息したとされるラニーニャ現象ですが、まだ名残は残っており、梅雨の時期は、西太平洋の海面温度が高く、対流活動が活発なので台風が発生しやすい。また、太平洋高気圧の西への張り出しがやや弱いため、台風の北上が邪魔されないので、日本列島に接近しやすくなっています」
ラニーニャ現象は南米ペルー沖の海面水温が例年より低くなる現象で、日本列島に“暑い夏”をもたらす傾向がある。さらに今夏は、台風だけではなく、猛暑の危険も高まっている。
「同じくラニーニャ現象の名残で、チベット高気圧が日本付近まで張り出して来るので、西日本、東日本は今年も猛暑になる可能性が高いですね」(前同)
■科学ジャーナリスト警鐘
科学ジャーナリストで、『天変地異のメカニズム』(かんき出版)などの著書もある大宮信光氏は、こう警鐘を鳴らす。
「台風は水蒸気をたくさん含んでいます。台風の発生が梅雨の時期と重なると、水蒸気が梅雨前線に送り込まれ、大雨のリスクが高まります。また、都市部で、ヒートアイランド現象も加われば、さらなる集中豪雨が発生。東京都なら荒川が決壊し、都心が水没する可能性さえあります」
では、巨大台風から命を守るにはどうすれば?
「台風発生時は、国交省HP内の『川の防災情報』をチェックしてください。荒川だけではなく、日本全国の河川の水位や洪水情報が確認できます。早めの避難が大切です」(前同)
次に、台風、集中豪雨の際は外出を極力控えたい。
「洪水となれば、地下鉄、地下街、移動中のマイカーなどの車内で溺死の危険性があります。自宅の地下室も危険です」(同)