「どんな本を読めば良いんですかね?」
学校だろうが、オフィスだろうが、焼き鳥屋だろうが、居酒屋だろうが、キャバクラだろうが、本の話をすると、ほとんど全員から聞かれる質問なんです。
「オススメの本とかあります?」
知らんがなっ、アンタのことをよく知らないのに、オススメの本が分かるかっ!  オレは超能力者かっ!
心の中で、そう叫んでしまう性格の悪いオレ様ですが、それじゃコラムが成立しないので、今回は本の選び方のコツを一つ教えましょう。

「それじゃ、まず今まで読んだ本で、好きだったのは?」
「好きだったのですか? 特に好きなのとかは無かったです」
好きなのが無かったじゃなくって、あんまり本を読んだことがないので、好きなのは、わかりません、もしくは、ありません、が正しい答えだろうがっ。
「歴史物とかは?」
「歴史は苦手だったんで…」
「心理学とか哲学とかは?」
「なんですかそれ?」
「じゃあSFとかは?」
「う~ん、SFとかは、あまり好きじゃないかなぁ」
コラッ!
生まれてから100冊程度未満の本しか読んだことのないアンタに、本の好き嫌いを言うのは100年早いんだよっ!失礼しました。

好き嫌いという感情が、アナタの向上心を阻害している。

小話その1
コーヒーショップの喫煙ルームには、みんなのよく知っている例の身体に悪い煙が充満してて、煙いったらありゃしない。
その煙の奥の方に、ほんの一部の人が知っているハゲオヤジがいた。
そのハゲオヤジは、生まれつき細い目を更に細くしながら、喋りまくっている。
「やっぱりキミね、女性は髪が長い方がゼッタイにいいよ」
カンペキにうんざりした顔の若者は、冷めたコーヒーの中に砂糖をぶちまけている。
「そうすかねぇ、髪の毛とか長くても短くても、どっちでもいいっす自分」
「なに言ってんだよ、長い方がいいに決まってるんだよ、ずっと昔から」
「あれでしょ、最近またお気に入りの女の子ができて、その子の髪が長いって話なんでしょ」
「あれ?何で分かった?」
「どうせそんなことだろうって、すぐ分かりますよ」
「やっぱ女はロングヘアーで決まりだね」
呆れる若者と夢見るハゲオヤジの図。
いただけない…
「ほら、あそこにいる女も髪が長いじゃん」
喫煙ルームの煙とガラス越しに、髪の長い女性が座っていた。
「髪の長い女のさ、あの髪をこう、こういう風にかき上げる」
ハゲオヤジのタコ踊り、まさにそんな身振り手振りだった。
「あの仕草がたまんないんだよねぇ、この股のあたりがキュ~って」
「見てるこっちの方が、たまんないんですけど…」

翌日、まったくのすぐの正真正銘の翌日。
再びコーヒーショップの充満した煙の中。
再びハゲオヤジ。言っときますが、細い目は生まれつきだけど、ハゲは生まれつきではない。
で、世の中のすべてがイヤになった時の表情とは、きっとこういう顔なんだろうという顔でしゃべるハゲオヤジ。
「髪の長い女とか最低、ホントにサイッテイッ最悪っ!」
「速攻で振られちゃったんですね?」
対照的にまったく表情を変化させない若者。
「女はね、やっぱりショートヘアーがかわいいね、ロングヘアーなんか最悪、清潔感がまったく無いね、シャワー浴びても乾きにくいじゃん、だからゼッタイに臭いと思うよ、オイニがね、オイニが」
昨日言ってたことと正反対のことを、恥ずかし気もなくしゃべるハゲオヤジ。
こう、こういう風に髪をかき上げる仕草は? いったい何だったの?

とっくにお分かりでしょうが、ハゲオヤジとはオレのことでございます。
要するに、何が言いたいかというと、好き嫌いなんて、その時の自分の気分次第なんですよということなんですよ。

アナタが一番大切にしている感情なんて、所詮そんなもんです。
自分の感情こそが諸悪の根源である。(特に愛とか正義とかを、都合良く使ってる人に、余談)
感情に左右されるな!コントロールしろ!


これは、本の選び方だけじゃなくて、すべての人のための生きるコツといっても過言じゃない、とオレは思ってます。
好き嫌い関係なく、手当たり次第に読め!問題は絶対量だ!
まずは苦手な本、今まで興味の無かった本から入ってみるのも良い手かもしれないよ。

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