食事や言語など異文化を楽しむのが海外旅行の楽しみのひとつだが、普通に遊びに行くだけではわからないのが、刑務所の中。
暗い檻の中に閉じ込められ、出られるのは日に3度の食事と、わずかなスポーツの時間だけ。囚人は名前ではなく番号で呼ばれ、徹底的に管理される――。

そんな映画や小説に出てくるイメージは、広大な地球上では常識とは言えないのだ。
本誌は世界中の刑務所を徹底調査。入ってみなきゃわからない本当の姿を報告する!

超デンジャラス!生きては帰れない激ヤバ刑務所

人間の内臓がそこかしこに転がる"地獄への入り口" [ジンバブエ]

失業率95%、国民の貧困率70%、国庫はわずか217ドルなど、世界最貧国と言われるアフリカのジンバブエ。その厳しい経済状況は、刑務所にも反映されている。

「食事も毎日あるわけではなく、たまに、とうもろこしのおかゆと水が出る程度。ベッドもなく、1年も刑務所に入れば体は骨と皮だけになり、目も虚ろに。立つこともままならなくなります」(国際ジャーナリスト)

また、衛生面も最悪で、掃除は皆無のほか、シャワーを浴びることも不可能。病気が蔓延しても、薬もなければ、治療を受けることもできないというのだ。

「"獄死率"が非常に高く、死んだ囚人は顔と胴体だけを薄い布にくるまれて、倉庫にボンボン投げ込まれていきますが、それすらも追いつかない状況で、死体や体の一部、腐った内臓がそこかしこに転がっています」(前同)

現地では"地獄の入り口"と呼ばれ、犯罪の抑止力になっているというが……。


公然と銃や違法薬物が取引される無法地帯 [ベネズエラ サン・アントニオ刑務所]

厳しい規則に縛られた、がんじ絡めの生活――そんな刑務所の常識を打ち破るのが、南米はベネズエラのサン・アントニオ刑務所だ。

「逃亡」以外の規制は一切なく、何をするのも自由。

そのため、刑務所の中では、プールで泳ぐのも、寝るのも、DJを楽しむのも自由。店を開業するのすら問題なく、飲食店やカジノが軒を連ねているのだ。

これだけ聞くと楽園だが、規制がないのは暴力や犯罪も同様。刑務所でありながら、公然と拳銃や違法薬物が取引され、"目に付く者"には制裁が下されるという。

「内部を仕切っている組織から狙われれば、リンチ、銃殺なんて日常茶飯事。さらに、マフィア同士での抗争すらも行われ、公式発表では1年間に500人以上が死んでいるとされていますが、地元では、その倍は死者がいると囁かれています」(現地在住の日本人)

自由より怖いものはない!?


50人近いギャングを10畳の檻にすし詰め! [エルサルバドル イサルコ刑務所]

過去の内戦の影響で、中米で断トツに治安が悪いとされるエルサルバドル。

それゆえ数えきれないほどの極悪犯が存在するが、施設のキャパがまったく間に合っていないという。

「全国的な収容率は300%。それでも増え続ける下獄者に対し、3段ベッドやハンモックを利用して、なんとか収容していましたが、次第にトラブルが多発し始めました」(専門家)

特に問題なのが、地元で最凶のギャング『18番街』。敵対勢力を見れば、刑務所内であっても喧嘩や殺人といった抗争を起こすため、「18番街を隔離すべく、彼ら専用の刑務所を設置しました。しかし、300人強の定員に、900人弱のメンバーを収容する過密さのため、わずか10畳ほどの拘置所までも刑務所化。ここで50人ほどが生活を送っています」(前同)

凶悪ギャングがすし詰めの檻なんて、怖くて近寄れない……。


ムショ内の生活費は囚人自ら働いて稼げ! [ボリビア サンペドロ刑務所]

南米・ボリビアの首都ラパスにあるサンペドロ刑務所は、信じがたいことに看守がいない。1500人の囚人が自分たちでルールを決め、選挙で長を決めて生活しているのだ。

しかし、看守同様に囚人に与えられないのが、生活基盤。牢獄代わりの個室や生活スペースの権利を、自腹で購入しなければならないほか、食事や衣服なども自分で調達しなければならないのだ。

その結果、刑務所の中でありながら働かなければならず、カネを得ることができなければ、敷地内の路上で寝起きしなければならないことに。

「数年前まで、この刑務所の中を見て回るツアーも政府の許可の下に行われていましたが、多くの観光客がコカインの購入目的ということがわかり、中止になりました」(旅行会社社員)

また、夜はカネのない囚人が生活費を得るために強盗に勤しむという。

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