ゴミ袋のような物体が悲鳴と共に飛んて来た
夏なので空き地には鬱蒼と雑草が生い茂っています。
そこの隅の方に、白い物が置いてありました。ゴミ袋みたいな感じです。
しかし、ぼんやりしているというか、実体みたいな感覚がない……
いや、考えてみれば、これだけ地面が草に覆い隠されているのに、なぜこれだけが見えるのか。浮いているのか。
確かめようと目を凝らした途端、突然、あのつんざくような悲鳴が袋のある辺りから響き渡りました。
と同時に、そのゴミ袋風のものがこちらに飛んできたのです。
もちろん。全力で走って逃げましたよ。
その日からその道は使わなくなりました。
それから間もなく、朝方の悲鳴はなくなりました。と同時に、隣の中国人もいなくなりましたねえ。挨拶もなかったから、どういう経緯か知りませんけれど。その前後、怪しい風体の男女がその中国人の部屋に沢山出入りしていたのを見かけたことはありますが……。
なんとなくここがイヤになって、引っ越しをしました。自分の身を守れるのは自分だけですから。
『本当に体験した! 恐怖の心霊報告書』¥700(税抜)双葉社