今年の中秋の名月は9月8日。残念ながら東京地方は曇っていて中秋の名月は見られなかったが、一転して晴れた翌日の「スーパームーン」は楽しんだ人が多かったのではないだろうか。

中国人にとって毎年秋の「中秋節」は、旧暦の正月にあたる春節に次ぐ一大イベントだ。この時期になると中国人は月餅を買いまくり、友人知人にプレゼントし、食べる。習近平主席の進める質素倹約キャンペーンのせいで今年の各地の売り上げは半減したらしいが、それでも月餅に夢中になるその姿は、まるで何かに取り憑かれたようだ。

中国人の眼から見て、同じアジア人なのに日本人は中秋の名月や旧正月といった季節の行事を中国人ほど重要視しない。ただその一方で、日本人は「お祭り」にとても熱心だ。

先日、杉並区の高円寺で開かれた「東京高円寺阿波踊り」を見に行ったが、参加人数100万人というイベントとしての大きさに驚かされた。ただ、この高円寺阿波踊りでも、数ある日本の祭りの中ではそれほど大きい規模ではない。青森のねぶた祭りは毎年、300万人前後の参加者を集めている。

一説には、毎年10万~30万の祭りが日本全国で行われているという。対するわが中国はどうかというと……日本のような「お祭り」はゼロ。1つも行われていない。わが故郷の湖南省長沙市では毎年夏に川岸で花火が打ち上げられるが、たった10分で終わりだ。

なぜか。理由は簡単。中国では政府がデモになることを恐れて祭りを許可しないのだ。デモだけではない。中国で日本のような祭りが夜間に行われたら、間違いなく強盗や強姦が多発するだろう。

世界第2位の経済大国になった中国で、祭り1つ楽しめないのは残念なことだ。そもそも花火を発明した国で、たった10分間しか花火大会を楽しめない……。これほど皮肉なこともない。


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