朝、東京の山手線に乗っていると、
「ただ今、人身事故のため運行を一時見合わせています」
というアナウンスを聞くことがある。日本は2011年には年間3万人が、昨年も2万8000人が自分で命を絶ったという。

実はわが祖国、中国も「自殺大国」である。10万人あたりの自殺者数は世界第9位の22人に上る(日本は21人で13位)。

中国で自殺が多い理由は簡単に想像がつく。最大の理由は、格差拡大がもたらす絶望感で、将来に希望を失った出稼ぎ農民の「自殺テロ」がこのところ中国各地で頻発している。

ただ、もっと深刻なのが大学生の自殺だ。経済発展で中国人は豊かになり、当たり前に子供を大学に行かせるようになった。ところが、難しい勉強をした大学生を受け入れる企業がまだそれほどない。

中国人大学生の就職率はわずか30%台で、年間3000人が自殺しているともいわれる。あまりの自殺の多さに、広東省のある大学は昨年、新入生に、
「自殺しても大学の責任は問わない」
という誓約書にサインさせたほどだ。

はっきりした統計はないが、農村では伝統的に農薬を飲んだ自殺が多く、都会ではビルからの飛び降りが目立つ。かつて、毛沢東夫人の江青は中国全土を混乱に陥れた文化大革命の罪を問われ、服役中に首つり自殺した。実は今、中国で追いつめられた政府高官の自殺が相次いでいる。彼らは習近平国家主席の進める汚職狩りで摘発されるのを恐れて、自ら命を絶つらしい。

上から下まで自殺に追い込まれる国――何とも殺伐としているが、これがわが祖国の現実だ。


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