イラスト/グ スーヨン

「ナベさんはぁ、どんなタイプの女性が好きなんですかぁ?」
深夜の恵比寿の某キャバクラでは、
いつものように、
デレッと語尾を伸ばす会話が飛び交っていた。
「ボクの好み? 実を言うとねぇ、オッパイにしか興味がないの」
「ええ~、どんなオッパイですかぁ? 大きさとか形とか?」
「そりゃ巨乳に決まってるでしょ」

…しばしの沈黙。

その席には、3人の女の子がいて、その内の2人が若干程度の残念なオッパイで、1人がそこそこ立派なオッパイだった。
当然ながら、1人はニコニコして、2人はギリギリの引きつった笑顔を作っていた。
そこで、オレが口を挟む。

「ナベちゃんさ、今の発言で、世の中の女性の80%と、ここにいる66%の女性を敵に回したね」
「でもグーさんね、それは個人の趣味趣向なんですから仕方がないんですよ」
「どれくらいの巨乳が好きなんですか?」
「ボクにとってはねぇ、Fカップからがオッパイだね、Fカップからが女性」
そこで、ニコニコしていた1人が、ギリギリの引きつった笑顔に変貌する。

「Fカップ以下は?」
「Fカップ以下でもぜんぜん構わないですよ、世の中的にはね、でもボクにとっては、ただの人で、女としては見られない」

…再びしばしの沈黙

「グーさんも、オッパイ星人なんですかぁ?」
「オレはオッパイとかどうでもいいな」
「それじゃ、どこに興味があるんです? やっぱり顔ですかぁ?」
「いやいや、女も男もさ、大事なのは中身だよ
と言いながら、頭と胸の心臓のところを指で指し示す。
「ですよねぇ、さすが大人ですねぇ」

これで、簡単に3人を味方につけてしまうわけです。

「でもさ、オレは貧乏でお金持ってないから、キミたちのお客にはなれないよ」
「ええ~、ざんね~ん」
せっかく味方につけたのに、貧乏だったばかりに終了いたしました。
「やっぱり、お金持ちじゃなきゃダメなんだな」
「ええ~、そんなことないですよぉ、この前は、お金持ちじゃないけどイケメンとデートしましたもん」
「要するに、お金持ちかイケメンかってことか?」
「ええ~、違いますよぉ、そんなことないですぅ」
と言う彼女の目には、ハッキリと確かに『正解』と書いてありました。

あれから8年後…
ナベちゃんは、
相変わらず巨乳好きで、相変わらずオッパイにコンプレックスを持った女性を元気に敵に回し続けている。
しかし、お金持ちかイケメン好きの女性たちは、どこに行ったか行方知れず…


つまり、そういうことなんですよ。

本質は、オレの言った通りで、
「女も男も、大事なのは中身だ」ということなんだけどね、
一つだけ不公平があるとすれば、
男は、歳をとってもフツーに働いてさえいれば、そこそこお金も稼いで、そこそこ遊んでいけます。
だけど、ファッションやらネイルやらの外見だけ頑張ってる女性は、歳とったら見向きもされなくなって、やっと結婚した亭主は若い娘と浮気して、挙げ句の果てに離婚されて、自立するスキルもないから実家に戻って、もう歳だから良い仕事にもつけなくなって…切ない人生…ってことです。
男性よりも女性の方に、より「いい加減な学習」を実践していただきたいと、切に願っております。

つまり、そういうことなんですよ。

中身さえ鍛え続けていれば、寂しくてつまらない人生を送らなくて済むんです。
すでに、小学校くらいで教えられたと思いますが、
男性諸君は、くれぐれも趣味趣向(誹謗中傷)を公言しないでください。
女性の皆さんは、くれぐれも外見とお金で、人を判断しないでください。

つまり、学習あるのみ、そういうことなんですよ。


本日の新着記事を読む