日本が誇る若き至宝が、海の向こうの強豪打線を相手に、快投乱麻の大活躍! 右腕を狙う争奪戦が早くも勃発だ!

11月12日から18日にかけ開催された侍ジャパンとメジャーリーグベースボール(MLB)オールスターによる日米野球。8年ぶりとなった夢の舞台の主役は、チーム最年少の"若武者"大谷翔平(20=日本ハム)だった。

「12日、京セラドーム大阪での第1戦では、今オフ、ポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー挑戦の可能性が報じられた前田健太(26=広島)が先発しました。5回を2安打無失点に抑える好投でしたが、そのマエケンよりも、8回に3番手で登場した大谷のほうに国内外メディアの注目が集まりました」(スポーツ紙記者)
大谷は、最速159キロの直球を武器に、1イニングを三者凡退でピシャリ。
「MLBの公式サイト内でも、〈大谷翔平が完璧にイニングを投げ切った〉の見出しとともに特集記事が掲載されたほど。日本人投手として最大級の評価を受けました」(前同)

日本ハムの本拠地である札幌ドームで開催された18日の第5戦では、満を持して先発として登場。制球が乱れる場面もあったが、4回68球を投げ、6安打2失点。初回には、タンパベイ・レイズの主砲でもある4番ロンゴリアを、160キロの快速球で三振に仕留め、現役バリバリの豪華MLB軍団を驚かせた。
「初回の三者連続奪三振の"メッタ斬り"が示すように、相手チームの先発で、今季16勝を挙げたエンゼルスのシューメーカーに見劣りしない快投を見せました」(スポーツ紙デスク)
試合後、そのシューメーカーも、「彼は非常に特別な選手。まだ20歳ということに驚いた」と大谷を称賛している。

一方で課題も見えた。やはり速球だけでは、メジャーの選手は確実に打ち返してくる。大谷自身、試合中のインタビューで、抑えきれなかった悔しさをにじませた。
「いずれにせよ、今回の経験で、もともと大谷の中にあったメジャー志向に再び火がついたことは確実。彼のメジャー入りは、夢から現実へと一段と近づいた形でしょう」(前同)
プロ1年目こそ"二刀流"に振り回され、中途半端な成績に終わった大谷だが、2年目の今シーズンは、完全に覚醒。最速162キロの速球を武器に、24試合に先発登板し、チームトップの11勝(4敗)を記録。防御率2.61、奪三振179、勝率.733の成績を残した。打っては、2割7分4厘、本塁打10本。かのベーブ・ルース以来、96年ぶりとなる"10勝&10本"で、二刀流を批判する評論家や識者を黙らせた。

こうして迎えた日米野球の舞台は、覚醒した彼の実力を判定する格好の機会となった。
「日米野球には、日本人選手の品評会の側面もあります。今大会では大谷が順調に成長していることが確認でき、メジャーのスカウト陣も一安心でしょう」(同)
ただし、メジャーが欲しがっているのは、あくまでも"投手・大谷"。打者としての評価は驚くほど低い。大リーグ研究家の福島良一氏も、こう指摘する。
「日本人投手がメジャーで活躍できることは、すでに証明されています。それに対し、日本人打者はイチロー以外はあまり活躍していない。メジャーは、日本のホームランバッターを評価していないんです」
"打者・大谷"では、スカウトしようという球団はない、ということなのだ。

そもそも二刀流は、日本ハムが大谷を国内に引き留めようとした交渉の中で出てきた"口説き文句"だ。
「大谷は当初、高校卒業後に、いきなりのメジャー挑戦を表明していた。だが、"誰も歩いたことのない道を歩いてほしい"という栗山監督の言葉が彼には響いた。結果、日本ハム入団へと翻意した経緯がある」(全国紙運動部記者)
その前人未到の挑戦は、成功しつつあるかに見える。日本ハムは来季も、二刀流で起用する方針を継続するようだ。とはいえ、
「ここにきて大谷自身は二刀流を捨て、投手一本に絞りたいという考えに傾きつつあるようです」(前同)

ベテラン野球記者の江尻良文氏が解説する。
「今回の日米野球で大谷は投手として招集されたが、練習でバットを振ることに関してはなんの問題もない。にもかかわらず、バットを持ってこなかったんです」
こうした行動は、大谷本人が"そろそろ投手一本で勝負したい"という心境になってきたことを示しているのではないか――。
「栗山監督は、"本人がどちらかに絞ると言いだした時点で二刀流は終わり"と公言しています。監督にとっても、そのほうが好都合なんです」(前出・デスク)

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