離婚で年金も半分取られる!

これと似ているが、兆候その5は"自分の通帳がどこにあるのかわからない"。「男は仕事」と意気込み、家庭のことは奥さんに任せきりだったお父サンにありがちなパターンだ。
「定年後の生活設計をするうえでも、自分たちの預貯金の残高を知らないようでは困りもの。そもそも世の奥さん族の多くは、けっこうな額のへそくりを貯め込んでますからね。夫が家計のことを何も知らないでいて、いいことはひとつもありませんよ」
ハッキリしているのは、定年後の夫は妻を必要としているが、妻は必ずしも夫を必要としていないという事実だ。妻の心はとっくに夫から離れているのに、そのことを知らないのは夫だけ。そんな悲喜劇がいたる所で生まれつつあるのだ。

というわけで、兆候その6は"妻が最近、ネット上でブログやSNSにハマり出した"。さらに兆候その7"妻が趣味のサークルなどに一人で通っている"と続く。
「どちらも妻が夫を相手にせず、自分だけの世界を持ち始めていることの証といっていいでしょう。ブログやSNS、趣味のサークルなどを通じて、新たな出会いが生まれるケースもある。もっとも熟年世代の女性の場合、年下の男などに走るケースは、それほど多くありません。異性がどうこうではなく、夫に関心がなくなっていること自体が問題なんです」

その裏返しといってもいいのが、兆候その8で"妻が子どもとベッタリしている"。夫が帰宅した途端、家族の会話が途絶え、妻と子どもたちが居間から一人去り、二人去っていく光景は、世のお父サンたちの多くが経験しているはずだ。
「思春期の子どもが父親を嫌うことは珍しくないですが、母子が結託して父親をないがしろにするのはよくない兆候。夫以外の家族で出て行ってしまい、離婚に至る可能性があります」

そして兆候その9は"妻にセックスを求めすぎる"。
「セックスに関しては個人差があるので一概には言えませんが、熟年世代の女性は総じてセックスの欲求はあまり強くありません。むしろ、"夫に求められるのが苦痛で仕方がない"という人のほうが多いんです。なので"たまにはカーチャンをかわいがってやらないと"などと、無理してハッスルする必要はない。自然体でいいと思います」

いよいよラスト、兆候その10は"夫が過去に一度でも女性問題を起こしたことがある"ことだ。
「夫は過去の浮気や女のことを、妻が水に流してくれたと勝手に思い込んでますが、決してそうではないことは知っておいたほうがいいですね。妻は一応、許したフリをしていますが、心の底では深く傷ついているし、夫の裏切りを忘れていない。その怨念が、ふとした拍子に爆発することがある。30年前の浮気が許せず、定年直後の夫に離婚を求める妻が実際にいますからね」
江戸の仇を長崎で……ではないが、身に覚えのあるシニア世代の亭主族は、妻の怨念、女の復讐心を甘く見ないほうがいい。
以上の10大兆候を参考に自らの熟年離婚の危険度をチェックしてみてほしい。

実際に離婚調停、離婚裁判ということになると、時間的にも経済的にも夫の側が失うものは少なくない。
「弁護士費用も、成功報酬とは別に最低でも50~60万円はかかります。裁判や調停が長引けば、その間の妻の生活費、子どもの養育費は夫が支払い続けなければなりません。離婚が成立すれば、財産分与で夫婦の共有財産の半分は持っていかれますし、また、今は離婚しても妻が夫の年金の半分を受け取ることができますから、妻も強気なんですよ」
と、田村弁護士が続ける。
「ときには離婚にまつわるストレスから人間不信に陥ったり、アル中やギャンブル依存症になってしまうケースもありますね」
"結婚するより離婚するほうが難しい"とは、よく言ったもの。これを読んで思い当たったシニア世代は、ご用心を……。

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