外交で何かと仲の良さをアピールすることの多い中国と韓国だが、先日衝撃的なニュースが飛び込んできた。麻薬を中国国内に密輸しようとした韓国人の死刑が中国で執行された、というのだ。

中国では昨年8月にも、韓国人の麻薬密売者3人に対して死刑が執行されている。中国政府は犯罪者の国籍を問わず麻薬密輸犯に厳しく、2010年には日本人4人も麻薬に関する罪で死刑になっている。

ただ、重罪を犯したにも関わらず、中国が平等に死刑を執行しないことがある。有力政治家が被告のケースだ。

今から3年前に世界を騒がせた元重慶市トップ薄熙来の政治スキャンダルでは、イギリス人を毒殺した薄の妻が殺人罪で死刑判決を受けた。だが、死刑は死刑でも、執行猶予2年付き。日本人には理解できないだろうが、中国では特に有力政治家や高級官僚の死刑に執行猶予が付くことが多い。

中国の刑法によれば、2年間の執行猶予期間中に罪を犯さなければ、無期懲役に減刑される。執行猶予付き死刑はもともと、死刑という重圧を利用して政治犯を「労働改造」するための制度だが、現実には「有名すぎて殺せない政治家」を形の上だけ死刑にするために使われている。

その一方で、中国では死刑以外には執行猶予はほとんどつかない。麻薬犯罪の罪で先日、有罪判決を受けたジャッキー・チェンの息子も懲役6カ月の実刑判決だった。

中国の裁判所が先月、18年前に死刑が執行された少年に対して再審無罪を言い渡したニュースが流れた。司法の公正さをアピールする狙いだが、そもそも、いくら再審無罪を言い渡したところで、死刑になった人間は生き返らない。

その一方で、中国政府は国家転覆扇動罪や騒動挑発罪といった罪状を駆使して民主派や人権派を根こそぎ捕まえているのだから、わが祖国ながら支離滅裂とはこのことだ。


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