史上最低の東大中退ライターうっかり馬之助 酔いどれ競馬奮戦記
色っぽいM嬢にトックリを…


1972年、アタシは京王線明大前駅あたりで麻雀、競馬、バイトに精を出していた。

好きな馬は、快速馬マミーブルー(デビュー5連勝)と長距離馬タケホープ(ダービーでハイセイコーを撃破)。

行きつけの店は、甲州街道に近い小さなカウンターバー。店長は気のいい好人物だったが、唯一の欠点は、酔うとアイスピックを常連客の後方の壁に向けて投げること。冗談とはわかっていても、自分の後ろの壁に刺さったアイスピックを見るたびにヒヤリとした。

さて、この街には、とても色っぽいお姉さんM嬢(20代半ば。スナックのママさん)がいて、男たちのアイドルになっていた。

ある日、町の有志10人ほどが集まって宴会が開かれた。お姉さんも顔を見せていたが、その彼女に、酔ったアタシはついトックリを投げてしまった。もちろん、当たらないように気をつけて、しかも弱々しく。
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