強い敵に勝つためどう乗ればいいか

――あのクビ差を逆転するためには何が必要なのか。
大きな課題を持って挑んだレースだったのです。

一瞬、スタートから抑えずに、そのまま押し切ろうとしたらどうなるのかという考えが頭に浮かびました。
いるはずのないウオッカを思い描き、何度もシミュレーションしてみます。逃げるアストンマーチャン、猛追してくるウオッカ――何度やっても、ウオッカには勝てません。

気難しく、抑えるのに苦労しますが、彼女の力をすべて出し尽くすためには、やはり、前半は抑え、最後の最後のその力のすべてを爆発させる――それが、僕の出した結論でした。
道中、好位5番手でジッと我慢した彼女は、見事、その期待に応え、後続をちぎって優勝。3つ目の重賞をその手中におさめました。

本番、「桜花賞」では、パドック、返し馬で激しく入れ込み、ウオッカへの雪辱はなりませんでしたが、この「フィリーズレビュー」では、頭の中のウオッカをギリギリ抑えていましたから、僕にとっては、まさに会心のレースでした。

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