トヨタのFCVがアニメで登場!

サイバーフォーミュラに搭載されているエンジンは水素エンジン。二酸化炭素を発生させない無公害エンジンだが、どこか耳にしたことのある話だろう。
水素エンジンを使用する燃料電池自動車(FCV)はすでに開発され、2014年にトヨタが長距離走行可能なMIRAIを発表したことで一気に注目を集めている。今年2月には、トヨタ、ホンダ、日産が水素ステーションの整備に共同で取り組むと発表したばかりで、タイムリーな話題だ。

今では普通の技術を25年以上も前に予見した作品といえば、漫画『機動警察パトレイバー』(1988年発表)で、アニメと映画もヒットしている。
舞台は90年代後半から00年代の東京。作業機械レイバーの犯罪に、警察が二足歩行ロボットのパトレイバーで対抗する。斬新なのがOS(オペレーティングシステム)という概念でロボットを描いたところだ。

敵は同じ機体にもかかわらずOSがアップデートされることで、どんどん手強くなっていく。OS(ロボットの脳みそ)をハードウェア(ロボットそのもの)と同等に重要なものとして描いている。
ロボットがまるでパソコンのようであり、来るパソコンが普及する時代を見据えていたのかもしれない。

近未来SF漫画の金字塔といえば『AKIRA』(1982年発表)である。
映画もヒットした本作の舞台は、まもなく訪れる2019年のネオ東京。
主人公・金田正太郎のバイクは04年の東京モーターショーや、12年の大友克洋GENGA展でコンセプトマシンが披露された。金田バイクの性能も限定的にではあるが実現している。たとえば、今年ヤマハが欧米向けに発売する「YZF-R1M」は電子制御が盛りだくさんで、出力は200馬力と、この点に関しては金田バイクのスペックとほぼ同じである。

『AKIRA』のすごさは、その予言性にもある。
前出の九龍氏が語る。
「驚くべきは、2020年に東京オリンピックを控えているという設定を約30年前に作ったこと。現実でも2020年に東京オリンピックが開催されることが決定していますからね」

ネオ東京は、新型爆弾と第3次世界大戦の爪痕が残る場所。復興の最中に東京オリンピックを迎えるという状況は、現代の日本と重なって見える部分がある。
「『AKIRA』は、個人よりも社会や組織が優先されたバブルの時代、漠然とシステムを信仰していた社会情勢の中で描かれました。そんな状況の中でシステムを壊すのは、良くも悪くも個人の想像力であると、想像力の可能性を描いたところが秀逸でした」(九龍氏)

見えない未来を描こうと、数多の可能性を描いてきたSF作品。先行きの見えない混沌とした状況の日本を打ち破るのは、こうしたSF的想像力かもしれない。

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