次に阿修羅原をめぐるマスコミ報道の思い出は「SWS」である。メガネスーパーが資本を投入して旗揚げした新団体に天龍が参加した。
この新団体に対して「週刊プロレス」が大バッシングキャンペーンを展開したのだ。試合内容から何から全否定して叩いた。
今にして思えば「俺たちの『村』に新規(企業)が入って来るな」という、既得権益を守ろうとしたマスコミの狭量な振る舞いだったのだが……。
そんなことに私はまだ気づかないなか、SWSは東京ドームでビッグマッチを開催した。メインは天龍源一郎 vs ハルク・ホーガン(1991年)。
「週刊プロレスに酷評されているSWS」というイメージが抜けきらず、私はいちばん安い席のチケットを買った。ドームの二階席だ。それぐらい疑心暗鬼での観戦だったのである。
しかし!
実際に見たSWSは本当に面白かった。天龍とホーガンも名勝負だったが、興行の途中からSWSのレスラーの武骨で激しい戦いを見て認識をあらためた。なんたってドームの二階席までゴツゴツしたぶつかり合いの生音がハッキリ聞こえてきたのだから。
阿修羅原がキング・ハクらと「ゴツゴツしていた」のだ。なんだ、SWSに移籍してもすごいプロレスをやっているじゃないか。
私は「週刊プロレス」に騙されたと気づいた。利益がからむと専門誌でも平気で「うそ」をつくことを実体験したのだ(専門誌だからこそ、かもしれないが)。
とりあえず、確認できるものはできる限り自分の目で確認しよう、判断はそれからだ。そんな教訓を教えてくれたのがあの日のSWS勢のファイトだった。
以上、阿修羅原をめぐるマスコミ報道の思い出のエピソードでした。
原さんお疲れさまでした。
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