ふたりの「構図」もよかった。メイウェザーは過去の素行の悪さだけでなく、現在も高級車100台を買っていかに自分が金持ちか見せつけちゃうような嫌味な男。

それに対しフィリピンの英雄・パッキャオ。常に母国のことを思っているイメージ。ファイトスタイルは超攻撃的で「負けるときは前のめりに」とでもいうようなスタイル。

見る側は感情移入しやすい。私もパッキャオを応援した。

しかし試合はメイウェザーが鉄壁なディフェンス技術で判定勝ち。試合の最後は自身の勝利を確信してガッツポーズまで披露し、小憎らしいまでの振る舞い。

「パッキャオのほうが面白かったぞ!」と一瞬イラッとしてしまったが、しかしよく考えたらこれぞメイウェザーの狙いなのかも、と思い直した。

完璧すぎてともすれば「面白くない」とも言われてしまうメイウェザーのファイト。

ではどうすれば観客を「ヒート」させることができるか。リング以外で破天荒になるしかない。高級車100台買っちゃうのはプロとしての振る舞いだったのかも。「あいつが負けるところを見たい」。観客にそう願わせて会場に足を運ばせる。金を落とさせる。全力のブーイングを浴びる。

なんて王道の「いいヒール」なんだ。大ヒール・メイウェザーにまんまとやられた。

こういう言い方はヘンだけど、懐かしいプロレスラーを見た思いでした。


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