――じゃあ、こっちにその気がないとしても、向こうから誘われたりしたことは……?

西本「それは遠回しに誘われたことありますよ」

――おおッ!

西本「でもういう時は、すぐにタクシーに乗せて帰しちゃいます」

――あぁ、そうですか……。

平日は夜しか営業できないにもかかわらず、レンタル依頼は平均して週に10件。その中にはリピーターのお客さんも多いという。いったいこの人気の秘密はなんなのだろう?

西本「まずは相手に喜んでもらえるよう心がけていることですかね」

――なにか具体的な会話のテクニックはありますか?

西本「ひとつは、その人の1番いいところを見つけて褒めることです。どんな人でも、なにかひとつは光っているものがありますから、まずはそれを見つけてほめる。あとは相手が話しやすいように、自分は話さず質問をします。そうすれば相手は、いい気分でどんどん話してくれますよ」

――なるほど、褒める、そして自分は話さず相手に話をさせるわけですね。

西本「あと若い人には上から目線は絶対ダメ。対等、もしくは少し下ぐらいのスタンスがいいんですよ。それと自分の武勇伝を話したらダメ。失敗談はいいんですけど、武勇伝は相手をしらけさせますね」

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おっさんレンタルの人気は、まず西本氏のコミュニケーション力によるところが大きいだろう。しかしこの人気には、もうひとつ、人間心理に基づく理由があるともいう。

西本「他人にしか話せないことってあると思うんです。家族や友人、恋人には話せないけど、まったく関係ない他人なら話せるっていうことが。それを話したい、そんな気持ちにおっさんレンタルはぴったりなんですよ。これが受けている、一番の理由かもしれませんね」

――ちなみにこのおっさんレンタルを始めてから、日常生活でモテるようになりましたか?

西本「いやぁ、それはぜんぜんですね。前も今も残念ながらモテません」

大阪のおっさんメンバーを1人増やし、さらに研修中のおっさんが1人加わったというおっさんレンタル。誰かに話を聞いてもらいたい、そんな気持ちになったら、ぜひ頼んでみたらいかがだろうか。

西本貴信氏

1967年・大阪府生まれ。22歳で渡米し、映画、ドラマのスタイリストとして活動開始。帰国後、ファッションプロデューサーとしてブランドディレクションなどに携わる。大学、専門学校の講師としても活動する中、2012年より副業として「おっさんレンタル」を開始。現在も様々な依頼人にレンタルされている。近著は『「おっさんレンタル」日記』(大和書房)

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