気がつけば6月。季節は春を通り越し、初夏、あるいは真夏を感じさせる日々が訪れている。東京都心では5月下旬に気温30℃を超すエリアもあり、今年初めての真夏日を記録している。いやはや、今年も猛暑に苦しめられそうだ。

この時期は郊外を中心に田植えなど春の農業が本格化するが、そこで気をつけたいのが、マダニに噛まれて発病する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」や「日本紅斑熱」。
4月下旬にはマダニに噛まれた香川県の男性が日本紅斑熱にかかり死亡していて、厚生労働省は対策を徹底するなど、警戒を呼び掛けている。

マダニは吸血前で3~4ミリのサイズで、本来は山間部に生息する生物。ところが、イノシシやシカ、野ウサギといった野生動物の体について人里近くまで運ばれ、民家の裏や田畑の草むらに潜み、機会をうかがい人間や動物の血を吸うという。

そこで、細菌やウイルスを保有したマダニに人が吸血されると、前述したSFTSや日本紅斑熱に感染、最悪の場合は死に至るケースがあるのだ。なお、SFTSの死亡者は2005年以降で計36人にもなり、決して他人事とは言えない。近年はエサを求めて山から下りてくる動物も多く、それに伴ってマダニの生息域も拡大。田舎じゃないから安心、というわけにもいかないのだ。

もっとも大事なのは、噛まれないための対策。SFTSや日本紅斑熱の感染者が出たエリア、あるいは山里に近い場所に行く場合は、長そで・長ズボンの衣服を着用し、シャツの裾はパンツの中に入れること。靴下も丈の長いタイプを履くようにしたい。
基本的に肌の露出をさけ、加えて虫除けスプレーを使うなど、二重三重のケアが求められる。

また、外から戻ったらマダニが皮膚についていないかどうかチェックも心がけよう。シャワーで全身を洗い流して、噛まれていないか確認するのは効果的だ。
マダニに噛まれていた場合は、無理に引き抜こうとはしないで、皮膚科に行ってマダニの除去と洗浄をしてもらうこと。同時に数週間は体調に気をつけて、発熱などの症状が現れたなら、すぐに医療機関にかかるようにしたい。

夏場に向けて、アウトドアやレジャーで自然豊かな場所に出かけることも増えるだろう。「たかがダニ」と思わず、この小さな外敵から自分自身はおろか、家族の身を守ること。決して油断してはいけない。

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