僕の目が一瞬、点になったのは、返し馬からスタート地点へと移動し、輪乗りをしていたときのこと。ピタリと立ち止まると、その場でジャー。涼しい顔でたっぷりと放出すると、また歩き出したのです。
「コイツ、全然、緊張していないんやなぁ」
頼もしいような呆れるような。苦笑してしまったことを思い出します。
その後も、レースのたびに、この変なオシッコ癖を続けたことをみると、よっほど気持ち良かったんだろうなと思います(笑)。
いつかは、エプソム競馬場で行われる本場イギリスのダービーにも騎手として参戦したい――「エプソムカップ」は、そんな気持ちにさせてくれるレースです。
2度めの戴冠を狙う今年のパートナーは、坂口正則厩舎のエイシンヒカリ。前々走こそ9着に敗れましたが、負けはこれのみで。ここまで、7戦6勝。ここが真価を問われるレースになります。ここをアッサリ勝つようなら……これはもう本物です!
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