次に食中毒を食べ物から取りさる、殺菌する「やっつける」のポイント。それは、加熱である。新鮮な肉なら細菌がついているのは表面だけなので、表面をしっかり焼けば問題はない。しかし、ひき肉や解凍肉には要注意だ。ひき肉は表面積が大きいため細菌が繁殖しやすく、冷凍肉は、解凍のときに温度が上がってくるにつれ細菌が増え始める。したがって焼くときは75度以上で一分以上加熱することを目安に、とくにハンバーグなどは中まで熱が伝わりにくいので、しっかり焼くよう心がけたい。

魚の場合は、真水でよく洗えば海水の中に棲む細菌・腸炎ビブリオをおとすことができる。また、腸炎ビブリオは熱に弱いのでじゅうぶんな加熱調理をすれば心配はないだろう。

野菜もよく洗うこと。でこぼこがあるものや葉が多いものはとくに丁寧に、根もとにつまってる土はしっかりおとす。ボウルなどに水を溜めて洗うのは×。一度おちた汚れがまた野菜についてしまうからだ。

また、忘れがちなのが調理器具、冷蔵庫の衛生だ。まな板、ザル、ふきんやスポンジなど、食べ物に直接触れる器具はできる限り清潔にしておくべし。使ったら洗剤でよく洗い、まな板は熱湯消毒、ふきんは週に一度は塩素漂白や煮沸消毒をしておきたい。

最後は「増やさない」だが、これは細菌が増える前、つまり新鮮なうちに食べてしまうのが一番だ。食品は買いだめせず、冷蔵庫に入れるときは、庫内を効率よく冷やせるよう、詰めすぎないことが大切である。冷凍は、細菌の活動をおさえることはできても、細菌を殺すことはできないので過信は禁物。もちろん、冷蔵庫の掃除も忘れずに。

一方で、食中毒にかかりやすい人とかかりにくい人がいるのはなぜか。友人たちと同じものを食べたのに、自分だけアタってしまった、なんて経験もあるのではないか。また、一般的に、食中毒にかかると子供や老人は症状が重く、健康な成人は症状が軽いということもある。これは、体の中に入った細菌の数や、そのときの体調にもよるが、その人自身が持っている細菌に対する抵抗力によるところが大きい。つまり、普段から細菌と戦う自己免疫力や、病気を治す自己治癒力を高めておくことが細菌とつきあうベストの方法なのだ。そもそも病原性の大腸菌などは普通に生活をしていれば、少しくらいは口に入ってくるもの。近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)が話題だが、目には目を、細菌には細菌をで、自分の体内の細菌を鍛えておけば、少々の病原性の細菌など、便と一緒に排出してしまうはずなのだ。健全な腸内フローラのためには、納豆、味噌、ヨーグルトなどの発酵食品を毎日何かしら摂取しておくのも有効だ。常日頃からさまざまな細菌と出会い、ちょっとやそっとじゃ負けない免疫トレーニングをしておこう。

「細菌をつけない、やっつける、増やさない」の食中毒予防の3原則と、自己免疫力を高めることで夏を元気に迎えたい!

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