人生に役立つ勝負師の作法 武豊
僕自身の単勝最高配当を記録しました


春の阪神開催最終週は、記録と記憶に残る(?)二日間になりました。

ひとつ目は、土曜日のメインレース「グリーンS」(芝2400メートル)です。
僕が騎乗した松永昌博厩舎のプランスペスカは15頭立ての12番人気。気持ち的に楽だったことに加え、重馬場が得意な彼にとって、この日の稍重(ややおも)という馬場状態はプラス。「一発、狙ってやろう!」と密かに闘志を燃やしての騎乗でした。

こんなとき、ジョッキーは何を考えて乗っているのか?
人それぞれだし、その日の馬の体調や馬場状態などによっても違いますから、答えはひとつではありません。

――流れによってはチャンスがありそう。
という場合もあれば、

――次に向けて少しでもいいレースをしよう。
ということもあるし、

――ひょっとするとひょっとするかも!?
と、ほくそ笑んでいることもあります。

ひとつだけ言えるのは、言葉には出さなくても、レースに出る以上、常に勝利を目指しているということです。それがたとえ1%の可能性でも。

単勝4210円、馬単3万5120円、三連単65万9200円。記者の方に教えていただいたところによると、これまで僕が記録した単勝の最高払い戻しは09年10月3日にタニノエポレットで記録した3500円で、今回、それを大きく更新。12番人気での優勝も初めてということで、記録ずくめの勝利となりました(笑)。

武豊は、これまで穴党の方にとって信頼できる騎手ではなかったと思いますが、これを機に、見なおしていただけるとうれしいですね。

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