白鵬が"不満"を募らせた真相

また、東京五輪の追加種目候補に相撲の名が挙がったときは、モンゴル代表として出場する気になったというが、相撲は一次選考で落選してしまった。代わって、今、白鵬が望んでいるのは東京五輪開会式で横綱として土俵入りを披露することだという。
現に白鵬は客員教授を務める拓殖大の講義で、
「東京五輪で横綱の土俵入りをするのが夢。5年後なので"う~ん"という感じはあるが、夢に向かって頑張っていきたい」と語っているのだ。

大鵬の優勝記録を塗り替えたことで「正直なところ、心にぽっかり穴が開いている」と明かしたように、今の白鵬は相撲に対するモチベーションが懸念されているのも事実。
その意味で、東京五輪での横綱土俵入りは、白鵬にとって大きなモチベーションになっているというのだ。

問題は5年後、白鵬が現役の横綱として君臨しているかどうかだが、スポーツジャーナリストの織田淳太郎氏は、こう太鼓判を押す。
「白鵬は股関節が柔軟で、ケガのしにくい柔らかな筋肉の持ち主なので、急激に衰えることはないでしょう。30歳は、力士としては若くないですが、近年はトレーニング方法などの改良によって、選手生命は飛躍的に伸びていますからね。大きなケガをしないことが大前提ですが、5年後も年に2場所、優勝するくらいの力が維持できるのではないか。それなら横綱としての面目も立つはずです」

続けて、相撲評論家の三宅充氏も、白鵬の実力をこう分析する。
「全盛期を過ぎたとはいえ、白鵬の実力は、やはり今の相撲界では頭ひとつ抜けている。重心が低く、懐の深い白鵬は負けにくい相撲が取れる力士です。ケガさえなければ、東京五輪まで現役を続けられる可能性は十分にありますよ」

もちろん肉体的な衰えはあるだろうが、近年の白鵬は肉体よりも精神面の不安定さが目立っていた。
「白鵬は将来、親方として協会に残る希望を持っていますが、父が国民的英雄なので、モンゴル人としての誇りが強く、国籍を捨てるつもりはない。一方、相撲協会も日本国籍でなければ親方になれないという現行のルールを変える気はない。白鵬には朝青龍引退後、一人横綱として八百長問題で揺れた角界を支えてきた自負がある。モンゴル国籍のまま一代年寄にしてくれても……という気持ちがあったはず。それが認められないとわかり、不貞腐れてしまった面もあるんです」(前出のベテラン記者)

白鵬の問題行動の背景には、そんな不満があった。
「だが、東京五輪という新たな目標ができたことで、白鵬のヤル気に再びスイッチが入りました。5年後に向けて、白鵬の逆襲が始まりましたよ」(同記者)

まずは、7月12日から行われる名古屋場所での"復活劇"に期待したい!

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