「蚊が低く飛んでいると雨が降る」という言い伝えは本当だった!?の画像
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夏本番が近づいてきて、虫の音も活発になってきた。セミなら夏の風物として、あのうるさい鳴き声も一興かも知れないが、プーンといきなり耳元で鳴る蚊の羽音は不快だし、あまり近づいてきてほしくない。

昔なら、刺されても痒くなる程度の被害だったが、最近はヒトスジシマカを介してデング熱に感染する危険性があるなど、蚊は厄介な存在になってしまった。昨年の夏、代々木公園で蚊に刺された学生たちがデング熱に感染してしまい、公園が閉鎖されたニュースは、まだ記憶に残っているのではないだろうか。

蚊についての記憶といえば、学校の帰り道などで、空気中にモヤモヤしたものが漂っていて、近づいてみると小さな虫が飛んでいた。また、間違って突っ込んだら目や口に虫が入ってしまった、なんて経験をお持ちの方が少なくないかもしれない。これは「蚊柱」といって、ユスリカなどが数十匹〜数百匹ほど集まって柱状に群れながら飛ぶ状態で、夜明けや夕暮れに発生しやすい。群れは1匹のメスと多数のオスで構成されていて、交尾相手のメスを誘うために、よりよいポジションを求め、絶えず飛び回っているのだ。

そんな「蚊柱」について、お年寄りや親から『蚊柱が低い位置にあると雨が降る』という、天気予報みたいな言い伝えを聞いたことはないだろうか? ユスリカとは、ハエ目糸角亜目ユスリカ科に属する昆虫の総称なのだが、 習性を調べてみたところ、この言い伝えはちゃんとした根拠があることがわかった。それは、雨が降りそうになって湿度が高くなると、飛翔力の弱いユスリカは空気が重くて高く飛べなくなるため、低いところに「蚊柱」を作ってしまうというのだ。つまり、雨降りを予告する正確な自然のサインだったというわけ。昔の人の自然に対する経験にもとづいた観察力は、なかなか侮れない。

ちなみに、「蚊柱」を作っているユスリカはオスもメスも吸血することはない。しかし、大量発生して死骸が飛散すると、アレルギー喘息を引き起こすこともあるので、他の蚊と同じく、歓迎できる存在ではないようだ。

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