天龍が新日本プロレスのリングにやってきたのは11月15日の引退試合の「相手」への直談判だった。まさか乗り込んでくるとは。
「昭和のプロレスを味わう最後のチャンスだぞ」天龍は目の前にいるオカダ・カズチカに言った。
そして9月2日、正式に引退試合のカードが天龍とオカダのシングルマッチと発表された。
以前からスポーツ紙では名前があがっていたが、しかし本当にオカダとやるとは。しかもシングルマッチとは。
オカダ戦が発表された日、「天龍プロジェクト」の最後の後楽園ホール大会を観戦したら、ここでも最後にマイクを握った天龍は「あの野郎をぶっ潰してやります!」 と叫んだ。セレモニーとしてのマイクではない。決意表明だ。観客も唸ったような声で呼応する。
天龍の言葉の端々から漂うのは「昭和」を背負っているということだ。感傷的な引退試合にしようなんてさらさら思っていない。ピリピリしている。
だから間違っても我々は「天龍さんありがとう~」などという迂闊なセンチメンタリズムで11月15日に国技館に足を運んではいけないのだ。心して臨まなければならない。決闘なのだから。
ウキウキワクワクのプロレス観戦も最高だ。でも、「どうなってしまうんだろう」という不安と「何かとんでもない日になるのでは」という想像が交差する、昭和のプロレス観戦があと2ヶ月でやってくる。
天龍には最後までしびれる。
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