白地に赤丸のシンプルなデザインで、一般的に「日の丸」と呼ばれている日本国の国旗「日章旗」は、その歴史は古く平安時代までさかのぼることができる。国旗として規定されたのは、1870年(明治3)2月27日に公布された「商船規則」によって“日本船の目印”として採用されてからで、この日は国旗協会によって国旗制定記念日とされている。
ところでこの「日の丸」、デザインが16年前に変更されていたのはご存知だろうか?
明治、大正、昭和、平成と「日の丸」は国旗として使われ続けてきたものの、法的な裏付けをする法令はずっとないままで、1999年(平成11)8月13日に公布された「国旗及び国歌に関する法律」(国旗国歌法)で、ようやく正式に国旗として認定されたのだ。
それまでは先の「商船規則」により、『旗の白地は縦横比が7対10、赤丸は旗の中心から旗竿側に、白地の横の長さの100分の1近づけた点を中心として、縦の長さの5分の3を直径にして描く』のが慣例とされていた。
これが「国旗国歌法」により、『旗の白地は縦横比が2対3、赤丸は旗の中心とし、大きさは「商船規則」同様、縦の長さの5分の3を直径にして描く』と変更された。
しかし、変更といってもバランスを微妙に変えただけなので、2つを並べて比べてみても、言われなければ分からない。変わり方が地味だったため、インパクト不足で国民に知られることがなかったようだ。
「日の丸」のデザイン変更は意外だったかもしれないが、調べてみると、実は国旗のデザインを変更している国は多く、そう珍しいことでもないことが分かる。その中でも、大きく変わった例をあげてみると……。
「ニュージーランド」
南十字星を表す四つの星と英国旗ユニオンジャックを組み合わせた、現行の国旗のデザイン変更を検討していて、約1万の応募作から5つに絞り込み、来年3月に現行の国旗も含め、国民投票で国旗を決めることになっている。
「カナダ」
赤と白の地の真ん中にカエデの葉が描かれた国旗は、1964年東京オリンピック直後に変更されるまでは、イギリス連邦に入っていた名残で、赤地の左上にユニオンジャックが入っていた。
「カンボジア」
内戦を経た1975年に制定した国旗には、赤地の中央に黄色で同国の象徴としてアンコールワットが描かれていた。これが1979年、1989年、1993年と変更を重ねるごとにアンコールワットの表現がリアルになり、とても複雑なデザインになってしまった。
「パラグアイ」
2013年の7月にデザインを変えたばかりなのだが、建国当時から何度も変更を繰り返していて、その種類は12もあるうえに、現行の国旗は裏と表が異なった、珍しいデザインを採用されている。
国旗が注目されるイベントといえばオリンピックだが、5年後の東京オリンピック開催前に混乱しないよう、くれぐれも参加国の皆さんは直前にデザイン変更しないようお願いしたいものだ。