人生に役立つ勝負師の作法 武豊
シリウスSで重賞300勝を達成!


ベルカントで勝った「北九州記念」が、JRA重賞299勝目。最近は、「あと、ひとつですね」という言葉が挨拶代わりとなり、僕自身も、そろそろ……と思っていた記念の300勝を達成することができました。

パートナーのアウォーディーは、ベルカントと同じく、前田幸治オーナーの所有馬。このレースがダート転向2戦目でしたが、ほぼ完璧な内容で、301勝、302勝……に向けて、また、楽しみな馬がまた一頭増えました。

それにしても、よくこれだけ、いい馬に巡り逢えたものだと思います。
初めて勝たせてもらったのは、デビューした年、1987年10月11日に行われたGⅡ「京都大賞典」。パートナーは6番人気のトウカイローマンでした。重賞を勝つ馬というのは、どんな馬なんだろう? デビュー前から思い続けてきた答えを見つけた瞬間のうれしさは、今もよく覚えています。

はじめて1番人気に応えて勝利を挙げることができたのは、8個目の重賞、翌88年10月30日に行われたGⅡ「スワンS」です。主戦ジョッキーの南井克巳さんがタマモクロスで、「天皇賞・秋」に挑戦するため、巡り逢えることができたシンウインドは、この日の勝利で、ワールドスーパージョッキーシリーズへの切符も運んできてくれました。

初のGⅠ勝利、通算9個目の重賞勝利を運んできてくれたスーパークリーク。8つの重賞勝利を挙げたメジロマックイーン。競馬ブームの頂点を極めたオグリキャップ。清楚で、かわいくて、そのうえものすごく強い――もし人間の女の子だったら、絶対に惚れていただろうエアグルーヴ。欲しくて、欲しくてたまらなかった"ダービージョッキー"の称号をプレゼントしてくれたスペシャルウィークとも8度も重賞勝利の美酒を味わいました。

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