●キングコング・西野亮廣(35)・『グッド・コマーシャル』(幻冬舎)……お笑いの他にも、俳優、歌手、ムード歌謡曲の作詞作曲など芸が多彩で、絵本作家としてもニューヨークで個展を開催するほどの人気だ。小説家としては、借金に苦しむゴーストライターが人質たてこもり事件を企てるストーリーの『グッド・コマーシャル』を2010年5月に出版。熱烈なファン以外からの評価は「芸人の自己満足本」などと手厳しく、15万部売れたらコンビ解散と発売記念サイン会で豪語していたが、どうやら、うやむやになったようだ。

●しずる・村上純(34)・『短編小説集 青春箱』(双葉社)……持ちネタの甘酸っぱい青春コントが出版社の目に止まり、短編執筆の話が舞い込んで来たそうで、昨年4月に『短編小説集 青春箱』を出版。ピース・又吉と仲がいいため、後書き代わりに彼との対談による全作品解説レビューが収録されている。発売記念の記者会見では、当時話題になっていた作曲家のゴーストライター問題にからめて、「自分で書いたのか?」と尋ねられると、「ちゃんと書きましたよ! ちゃんと自分のパソコンから送ってましたから!」と反論した。

【俳優・タレント・モデル編】
●陣内孝則(57)・『スマイル―聖夜の奇跡』(幻冬舎)……ロックバンド「ザ・ロッカーズ」のボーカルとしてデビュー後、1982年から俳優として活躍しているが、2007年8月にアイスホッケーの弱小チームで、素人監督と子どもたちが奮闘する『スマイル―聖夜の奇跡』を出版。同年12月公開の同タイトル映画(東宝)は、自らが監督・脚本を務めている。

●押切もえ(35)・『浅き夢見し』(小学館)……既にエッセイや旅行ガイド本を執筆していたが、雑誌やテレビの仕事だけではモデルの仕事の大変さを伝えきれないと、約3年かけて書き上げた、売れないモデルが主人公の小説『浅き夢見し』を2013年8月に出版。本作を高く評価した文芸誌編集部のアプローチにより、昨年末には『小説新潮』(新潮社)1月号で筒井康隆(81)、林真理子(61)、角田光代(48)など、そうそうたる小説家と肩を並べて、2作目となる『抱擁とハンカチーフ』を発表している。

●吉木りさ(28)・『誰かさんと誰かさんがネギ畑』(竹書房)……バラエティーやCM、女優、演歌歌手、民謡、三味線と多彩な才能を芸能界で発揮しているが、文才もあったらしく、学生の頃から小説をコツコツと書いていたそうだ。2013年6月に出版されたデビュー作『誰かさんと誰かさんがネギ畑』は、原稿用紙にして約380枚超の大作で、中学時代の同窓会で再会した25歳の4人の女性たちの人生をつむいでいる。

●加藤シゲアキ(28)・『ピンクとグレー』(角川書店)……ジャニーズ事務所のアイドルグループ「NEWS」のメンバーで、歌や演技で活躍しているが、2011年11月に事務所所属のタレントして初の小説家デビューすることを宣言。翌年1月28日、芸能界デビューをきっかけに、成功と挫折という正反対の道を歩むことになった、2人の青年が主人公の『ピンクとグレー』を出版した。その後、執筆した『閃光スクランブル』と『Burn. -バーン-』(同じく角川書店)と合わせて、『渋谷サーガ』3部作とされ、芸能人が書いた小説のレベルをはるかに超えていると高評価を得ている。

 書店のタレント本の棚に並んでいるのは、エッセイやネタ本ばかりかと思ったら、読み応えのある小説もあるようだ。今年の冬は、暖房のきいた部屋で今回紹介した作品のページをめくってみては、いかがだろう。

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