記録的暖冬で活発化!? 死のキケンもある「マダニ」にご注意!の画像
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 東京近郊であれば、ダウンジャケットを着ることすらためらわれてしまう記録的暖冬の日本。そんなに寒くないのはうれしいけれど、雪が少なくてスキー場がオープンできなかったり、花粉の飛散が例年より早く始まってしまうなど、弊害も少なくありません。中でも困ってしまうのが「マダニ」の害です。高温多湿を好むマダニは気温が13度以上あれば活動を続けることができてしまうため、ハイパーな暖冬となっている今年の冬はまったくもって油断ができない相手なのです。

 マダニは8本の足をもつ節足動物で、クモやサソリに近い生き物です。やっかいなのは、マダニの唯一の栄養源が、動物の血液であることです。部屋の中に住むイエダニやヒゼンダニなど微小なダニ(0.2~0.4mm)と違い、吸血する前から3~4mmと大きく、吸血することで小指の先ほどの大きさにまでふくれあがります。成長したマダニは産卵のために、そして幼いマダニは発育するために、犬や猫、ヒトなどの動物に寄生して血を吸います。問題なのは、このときウイルスや細菌などさまざまな病原体を、寄生した動物の体内に移してしまうことがあることです。

 マダニによる感染症の中には、人間を死に至らしめる重大な感染症があります。それが「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、平成23年に初めて原因が特定されたまだまだ認知度の低い病気です。これは、感染患者の血液や体液から接触感染することもあるとってもコワ~イ感染症なんです。ただインフルエンザのような感染力はないので必要以上に他人との接触を気にする必要はありません。このSFTSは、マダニに咬まれてから6日~2週間ほどの潜伏期間ののち発熱、食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛などを発症します。それにともない頭痛や筋肉痛、リンパの腫れや咳などの呼吸器症状を引き起こします。風邪の症状に似ているため、SFTSだと気づかずに放っておいてしまうと重症化して死に至ることも……! マダニに咬まれた後、上記のような症状が出た場合はなるべく早く医療機関を受診しましょう。

 ちなみにこのマダニ、そのほとんどは森林や草地、市街地などの屋外に生息していて、植物などの上で、吸血できる動物が通りかかるのを待ち伏せしています。アウトドアに出かける際は、長袖・長ズボン・帽子・首巻きタオルなどを着用して防ぎましょう。山登りなどをした後は、帰宅後すぐに入浴して身体をよく洗い流し、着衣はすぐに洗濯! こうしたマメな対応が、マダニを防ぐ最善策になります。ペットの犬や猫のほか、タヌキやキツネなどにも寄生するので野生動物にむやみに近づかないことも必要です。飼い犬や飼い猫はダニよけの薬を用い、ダニがいそうな草むらや森の中を散歩した際は目の細いクシを使ってブラッシングし、ダニを取り除きましょう。自分自身やペットがマダニに咬まれてしまった場合は、引っ張ってしまうとマダニの口先部分だけが皮膚内に残ってしまうことがあるので、皮膚科や動物病院を受診するのがマストです。どうぞお気をつけて!

わぐりめぐみ
東京生まれ。作家・編集ライター・シナリオライター。るるぶ等旅行雑誌から職歴をスタート。ティーン、ストリート、サブカル、ライフスタイル誌等で幅広く活躍。著書に『そして、ありがとう… 犬と私の12の涙』(日本文芸社)、『B型妻VSA型夫 毎日がグチLove』(笠倉出版社)、共著に『ミニチュアダックスフントの洋服屋さん』(実業乃日本社)等がある。

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