歴史と進化に感服!「おふろの入浴剤」は日本独自の誇れる文化の画像
歴史と進化に感服!「おふろの入浴剤」は日本独自の誇れる文化の画像

 入浴剤は日本独特の文化として知られ、世界でもじわじわと人気がブレイクしてきています。今回はそんな入浴剤の歴史について、ちょっとお勉強してみましょう。日本人は清潔感を重視する民族で、大の風呂好きとして知られています。江戸時代になり庶民の間で銭湯文化が花開くと、朝晩2回は銭湯に通い汚れた身体を清める人もいたといいます。

 この頃、言葉遊びの文化も生まれ「ゆうづうが効きますように」という意味を込めて柚子を浮かべた「柚子湯」や、邪気を払うとされる菖蒲を使い「尚武(ショウブ:武道や武勇を重んじること)」にあやかった「菖蒲湯」に浸かることも流行しました。また桑、楡、桐といった「生薬」や、有名温泉地の成分(湯の花)を浮かべた治療目的の薬湯入浴も行われていたといいます。

 ちなみに海外では、美を追求したクレオパトラが山羊乳風呂やバラの香油を入れたバラ風呂に入っていたという記録も残っているといいますが、庶民の間に入浴剤という文化が根づくことはありませんでした。

 日本では、明治30年に日本初の入浴剤「浴剤中将湯」が津村順天堂(現・株式会社バスクリン)から発売されます。これが日本における入浴剤の元祖で、昭和5年にはこの中将湯の成分に温泉成分や香り成分を加えた「芳香浴剤バスクリン」が発売、夏用の爽やかな香りが人気を得ていたそうです。しかし、この頃は一般家庭にお風呂はほぼ存在せず、銭湯で入浴剤を楽しむのが一般的でした。

 その後、太平洋戦争時代に入浴剤はゼイタク品として影をひそめます。終戦後の昭和25年に生産を再開し、各家庭のほとんどに風呂場が普及した昭和中期には、ハデな緑色にお湯を染めるバスクリンが一般家庭に普及します。そして昭和62年、「登別カルルス」という濁り湯タイプの入浴剤が発売されるやいなや「入浴剤=手軽に入れる家庭温泉」というイメージが付き、一気に入浴剤市場が活性化したのです。さまざまなメーカーから、数千種類を超える入浴剤が発売されるようになりました。

 平成に入り、人気を得たのはアロマ系の入浴剤です。ストレス解消や疲労回復、美肌、発汗ダイエットといった効果別・機能別入浴剤が登場しています。入浴剤の進化はどんどん進み、お湯に溶かすとまるでゼリーのような触感が楽しめるものや、炭酸入りのもの、加齢臭を抑えるものなど、高機能を謳う入浴剤はまだまだあります。

 いかがでしたか。入浴剤の歴史を見るだけでも、日本人がいかにお風呂を愛し、入浴時間を大切にしてきているかがわかりますね! 今夜は好きな入浴剤でゆったりバスタイムなどいかがでしょうか。

わぐりめぐみ
東京生まれ。作家・編集ライター・シナリオライター。るるぶ等旅行雑誌から職歴をスタート。ティーン、ストリート、サブカル、ライフスタイル誌等で幅広く活躍。著書に『そして、ありがとう… 犬と私の12の涙』(日本文芸社)、『B型妻VSA型夫 毎日がグチLove』(笠倉出版社)、共著に『ミニチュアダックスフントの洋服屋さん』(実業乃日本社)等がある。

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