東邦には、実はもう一人、「二刀流」の選手がいる。松山仁彦外野手だ。本業は外野手ながら、投手としても起用され、143キロの速球で、相手打線をピシャリと抑えてしまうのだ。「なんと防御率0.92で、奪三振は106。打っては打率.338。この選手の潜在能力は計り知れませんね」(スカウト)
一方、打者にも“金の卵”は数多くいる。「今年の打者の傾向は、強打のホームランバッターより、三拍子そろった野球センスの光る“いぶし銀”の選手が多いことですね。豪快さや派手さはありませんが、巧い選手が多いですよ」(スポーツ紙記者) その典型とも言えるのが、強豪・大阪桐蔭の1、2番コンビ・中山遥斗内野手と永廣知紀内野手だろう。この二遊間コンビには、際立ったものがあるという。「2人とも、打っては4割以上(永廣は.500、中山は.449)、守っても、41試合で、ともに失策は5だけという目を見張る成績です。高校野球に最も必要な要素である“実戦向きの選手”であることも共通しています」(前同) ちなみに、1、2番を任せられるだけあって、2人とも50メートル6秒台前半という俊足。まさに走攻守の三拍子そろった選手だ。
また、敦賀気比の林中勇輝内野手にも、プロのスカウトの熱い視線が注がれているという。「彼は、昨春の甲子園優勝メンバー。今年は4番と主将を任されたことで、さらにヤル気に燃えていると伝えられています。これまで114回打席に立ち、.360以上の高い打率を誇るのもさることながら、三振はたったの7つ。こういった数字に、彼のバッティングセンスの非凡さが窺えます」(スカウト) 180センチ、72キロの体格は、見るからにプロ向き。スカウトの間では、今年の高校生の内野手ではナンバーワンとの呼び声も高い選手だ。
さらにもう一人、プロが注目しているスラッガーが花咲徳栄の岡崎大輔内野手。「岡崎はエース高橋とシニア時代からの同級生なんですが、1年生の秋からレギュラーに抜擢された逸材で、昨夏の甲子園大会では、2年生ながら3番を任されました。左打者でありながら左投手を苦にせず、.353の打率をマークしています。また、167打数で三振がわずか7。チーム一の18盗塁をマークするなど、足も速い選手です」(スポーツ紙記者) プロに入ってもトリプルスリーを狙える、山田や柳田タイプの逸材だ。
最後に、今大会出場32校の中で、「ナンバーワン捕手」と評価されているのが、秀岳館の九鬼隆平捕手。「捕球から二塁送球まで1.81秒、走っては50メートル6秒0の俊足で相手チームをかき回し、秋の九州大会優勝の原動力となりました」(アマチュア野球担当記者) 通算18ホーマーとパンチ力もあり、153打席で三振5と選球眼もある。ドラフトでは、上位指名間違いなしというのが、スカウトたちの偽らざる評価だ。