その一つが、JR西日本の「おとなび」だ。これを利用すれば、新幹線「のぞみ」が4割引き、「こだま」なら6割引きと、破格の運賃での乗車が可能となる。しかも、7日前までの予約でいいので、予定が立てやすいのもメリットとなる。「新大阪-博多間をよう利用するんやけど、こだまなら通常1万5000円かかるところが、5990円で行けるんやから、ほんまに助かるで。他にも、大阪から金沢まで4590円、出雲市まで7540円と、これを使わん手はないわ」(在阪の会社員男性)

 また、北は北海道から南は鹿児島・指宿まで、国立公園・国定公園などに計37か所設けられているうえに、もともとリーズナブルな価格設定の「国民休暇村」も、中高年世代が有効に活用したいものの一つだ。休暇村には18歳以上の人が登録できる「Q会員」というものがあり、一般会員が100円で2ポイント付与されるところ、50歳以上であれば、その2.5倍の5ポイントもらえるのだ。1ポイント=1円で利用できるこのポイントは、施設内のレストランやお土産購入でも使えるので、これを使わない手はない。

 このような、ポイントや料金が定まったシニアサービスであればいいが、注意すべきものもある。前出の荻原氏が話す。「旅行会社のパッケージ商品の中には、もともと料金を高めに設定をしているものがあります。そのため、シニア割引を使ったとしても、自分で交通機関や宿泊先を選択して組むケースより割高になるパターンがあるので、注意してください」

 また、若者の娯楽場というイメージが強いゲームセンターも、シニア向けのサービスを多く用意している。業界最盛期の2007年度をピークに39歳以下の利用が減少しているのに対して、60歳以上の利用者は昨今、急増しているからだ。たとえば、遊戯施設チェーンのアドアーズでは、60歳以上の利用者を対象に「シニアスタンプカード」を発行。来店ごとに1日1ポイントが付与され、そのポイントに応じてメダルがプレゼントされる。15日間来店すれば、計200枚のメダルがもらえる仕組みというから、毎日通いたくなってしまう。

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