「やっぱり“エ”の字は走るよなあ」去年、春の天皇賞で7番人気のフェイムゲームが2着に追い込んできたとき、競馬風俗研究家の立川末広がそう言った。名前の中に“エ”の字を持つ馬が、このところ、春の天皇賞で好走しつづけているというのだ。

 始まりは平成23年の春の天皇賞。前3走で(8)(7)(3)着と連を外していたエイシンフラッシュが、2着に突っ込んできたのだ。これをきっかけにして、平成24年はオルフェーヴルがまさかの11着に大敗したものの、同枠トーセンジョーダンが連対。平成25年と26年はフェノーメノが連対。そして27年はフェイムゲームが連対と、名前に“エ”の字を持つ馬が連対枠の目印になりつづけているのである。

 なぜ“エ”の字にそんな威力があるのかというと、天皇賞は戦前の帝室御賞典と呼ばれた時代をはさんで、その前はエンペラーズCと呼ばれていたからだと、立川末広は言い張っている。労作『競馬異外史』(早坂昇治/PRC選書)によると、明治天皇は競馬に非常に深い関心をお持ちになり、ご在位中に横浜競馬場(根岸)に13回にわたって枉駕(おうが)されたという。だから、エンペラーの“エ”の字が威力抜群で当たり前だというのである。

 前走58.5キロで連対したフェイムゲームは、今回もまたいい仕事をしてくれそうな気がする。

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