なんと、どの専門医が適切かというアドバイスや紹介も受けられるそうだ。その大場院長に病院の見極め方を聞いてみると、「病院のイメージ、在籍医師の経歴、症例数や治療成績などを参考にするしかありませんが、表に出ている指標は絶対ではありません。たとえば、5年生存率が良好だったとしても、がん専門病院の場合、患者としてリスクの少ない“優等生”ばかりを診ている可能性があります。それに、重篤な合併症を一度併発してしまうと、対応が不慣れという問題もあります」

 つまり、糖尿病や心臓病に高齢も含めた“リスク”を抱えている患者は、がん専門病院では診てもらえない可能性があるのだという。また、大病院へ頼りたくなる世間の流れにも、「患者数が多いことで主治医とのコミュニケーションが不足しがちとなり、必ずしも安心できる治療とは限りません」(前同)

 さらに、疾患によっては都市部と地方で“病院格差”があるのも事実だと話す。「一般的に、がんは転移すると治癒という目標から遠ざかってしまいます。ところが大腸がんの場合、肝臓や肺に転移しても、最近は治る可能性を諦めてはいけないのです。そのような新しい情報や教育があるかどうか。つまり、医師同士の切磋琢磨や学ぶ機会の多い都市部の病院では、その判断ができても、地方の病院の中には、慣習や主治医の主観のみで漫然と治療が繰り返されている患者もいますよ」(同)

 では、地方のがん患者は家族と離れ、都会の病院へ“単身入院”すべきなのか。早期がんの治療については地域による格差はあまりないと話す大場氏だが、治癒の可能性のある進行がんの場合は別だという。「手術は、基本的には一発勝負の治療ですから、高い技術が求められる手術であれば、それも選択肢。しかし、通院治療であれば、患者の精神面や家族の負担を考慮して、アクセスしやすい病院が理想ですが、やるべきことをやってくれるかは別問題」(同)

 さらに、「終末期がん患者の場合、これまで受けてきた治療から途切れなく緩和ケアを施してくれる病院や、在宅ケアをしてくれる医師との連携を築くべきです。残された人生をどのように過ごしたいか、患者本人の希望ができるだけ尊重される環境整備が必要でしょう」(同) 生死に関わるがんと病院。そのとき、あなたはどう判断するのか――。

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