その最大の理由は、球団史上、最悪と言っていいほどのファン離れだ。「落合時代以降、ナゴヤドームでの主催試合の年間入場者数は減少の一途。星野さんの時代と比べると40~50万人単位で減っており、昨年は約200万人。巨人の301万人、阪神の268万人とは比べるべくもなく、“カープ女子”効果もあって伸びてきた広島の190万人に抜かれる寸前。このままでは“Bクラス”転落は確実です」(中日新聞関係者)

 ナゴヤドームでは、選手とお揃いのユニフォームを来場者全員に無料配布する人気企画がある。かつては、その日は常に満員だったというが……。「今では、この日でさえ当日券が3~5000枚も出るありさま。他の日はもっとひどい状態です。スポンサーも怒り心頭で、広告収入も減る一方。球団は頭を抱えていますよ」(前同)

 ある中日OBは、「結果、すなわち勝つことがすべて」と標榜し、他の要素をすべて捨ててきた“落合イズム”に、その原因をみる。「07年の日本シリーズで、あと1回抑えれば完全試合だった山井に交代を送った采配が象徴するように、落合の野球は“正しいけど味気ない”と不人気だった。GM就任後にはチームを支えてきた生え抜き選手をことごとく切り捨て、人事ではOB会と対立して、小笠原(道大=現2軍監督)、大塚(晶文=投手コーチ)ら外様を重用するところも、地元愛の強い名古屋のファンに嫌われるところだね」

 そして、そんな状態に嫌気がさした山本昌、山﨑武司、立浪和義、井端弘和など実力派OBが、「落合さんがいるうちは中日に戻らない」と口を揃えているというのだ。四面楚歌の落合GMだが、それでも、これまで“オレ流”を貫けたのは、「自分の目の黒いうちは落合でいく」というほど惚れ込む中日のドン・白井文吾オーナーの後ろ盾があったから。だが、“反落合”の火の手は、白井氏をもってしても止められない規模にまで広がっているのだという。「“客離れを、なんとかしてくれ”という悲鳴が、地元財界やグループ各社から上がっていますからね。特に、大口スポンサーのスズキは強硬に“落合体制ではもう、つきあいきれない”という姿勢でいるようです。これでは、白井氏も今オフの“落合切り”を決断せざるをえないでしょう」(地元記者)

 そうなれば、現在のドラゴンズとは一線を画している生え抜きOBたちの帰還も十分考えられる。「権力闘争に勝利した格好の谷繁監督も、契約は来季まで。その成績次第で流動的でしょうが、山本昌や山﨑武司が帰ってくれば、いずれは今季の阪神の“1軍金本・2軍掛布”のような夢の監督コンビも実現するでしょう。再び“愛される球団”になるために、オーナーの決断を期待したいですね」(前同) 誰もが認める名選手・名監督でありながら、最後まで“ミスタードラゴンズ”になれない落合氏。孤高の“オレ流”の時代が、静かに終わろうとしている――。

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